会期:11/25(土)~12/28(木)

2019年に『工芸青花』を出版する青花の会が企画し、開催された画家・nakabanさんの作品展「Anno Domini ロマネスクと私」で展示された作品の一部を、小さな巡回展として本屋B&Bにて再び展示します。
年3回刊行の『工芸青花』を支える内容のひとつである西洋中世の「ロマネスク美術」。
そして、そのロマネスク美術を他にない視点で紹介するシリーズ「ゾディアック叢書」。
この二つを愛する仲間である「工芸青花」とnakabanさんが、「ゾディアック叢書」をはじめたアンジェリコ・シュルシャン修道士が2018年に亡くなったのをきっかけに開催したのが「Anno Domini ロマネスクと私」展でした。
今回B&Bでは、2019年に展示されたnakabanさんによる絵画6点の展示販売と、展示された絵画作品をもとにしたポストカードnakaban《Lettres à “Z”》ほか『工芸青花』の本のバックナンバーやnakabanさんの著書や関連本なども販売しています。
とおいロマネスクに思いを馳せながら、nakabanさんの作品をどうぞお楽しみください。




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“暗い旅・ロマネスク nakaban
ロマネスクは遠い時代から届いたこだまのよう。それも彫られ、聖堂に積み上げられた石に反響したこだま。複雑に反響しているようで見事に全体で一つになっていくような。フランス語のある言い回しで、暗くて古い時代の、ひるがえって時の始まりのことを指し “la nuit des temps” と言うそうです。すてきな言葉だと思いませんか?
ロマネスクのその一見親しみやすいフォルムに強く惹かれたとしても、やはりそれは暗闇の向こうにある存在な のです。それでもこの展示で、わたしが心底好きなロマネスクの暗闇に一つ足を踏み入れてみたいと思います。その暗い旅の手引き書として外せないÉditions Zodiaque(以下:ゾディアック叢書)という本があります。“ロマネスクにはそれ自身の知られざることばがあります”* と書かれた “Bourgogne Romane” をはじめとしたゾディ アック叢書を開くと、そのロマネスクのことばをひろい集めながら果てしなく続く旅そのものが見えて来るようです。取材から印刷、製本まで配本を除く全てが修道院での自主で行われ、“労働は祈りに通じる” というベネディ クト派の教えを書籍づくりという形で体現したゾディアック叢書。この本はこの展覧会の会場を運営する “工芸青花” のバイブルでもあります。**
本展でみずからに課しているテーマはふたつあります。ひとつはロマネスクのかたちに学び、自分らしい絵の描 き方を探すこと。そしてもう一つはそのゾディアック叢書から、なにかを学ぶことです。
* Dom Angelico Surchamp, Signification De L’art Roman, “Bourgogne Romane” 1954 **「フランスのロマネスク ゾディアックの本とサン・ブノワ・シュル・ロワール修道院」『工芸青花』1号 2014年”
ウェブサイト「工芸青花」
gallery「展覧会「Anno Domini ロマネスクと私」ページより抜粋
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190201.html
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【Infomation】
〈nakaban+工芸青花「Anno Domini ロマネスクと私」〉小さな巡回展
会期:11/25(土)~12/28(木)
場所:本屋B&B店頭
営業時間:イベント開催の都合で日々変動がございますのでHPでご確認ください。
〈nakaban・なかばん〉
画家。1974年広島県生れ。絵画作品を中心に数多くの書籍の挿絵、文章、 絵本、映像作品を発表する。新潮 社「とんぼの本」や書店「Title」のロゴマークを制作。著書に『ダーラナのひ』(偕成社)、共著に『窓から見える世 界の風』(福島あずさ著/創元社)等。
〈青花の会・せいかのかい〉
『工芸青花』をはじめとした本の編集・刊行をしていま す。毎月の講座や、東京神楽坂で骨董・工芸の展覧会もおこなっています。
https://www.kogei-seika.jp/