「何ゆえにこうした神秘に惹きつけられるのか、彼にはついにわからなかった。流血のせいなのか? 神のせいなのか? 汗の匂いや、濡れて光る肉体のせいなのか? この熱中を断ち切ろうにも彼の力はまったくおよばず、結局、アフリカが彼の運命なのだと納得して、彼はアフリカの花嫁をめとった。」
この物語は1970年代のベナンで始まる。ダ・シルヴァー族が各地から集まって、開祖フランシスコ・マノエルの没後117年を記念する祝宴が繰り広げられていた。
フランシスコ・マノエルはブラジルでの極貧生活に見切りをつけ、1812年、大西洋を渡り、西アフリカで奴隷商人として身を立てる決心をする。鉄の意志のほか何の武器も持たずに、ダホメー王から「副王」の地位を得た彼は、ウイダーの地で巨万の富を築き権勢を振るう。しかし、その栄光も長くは続かなかった……。
旅する作家・旦敬介による新訳。
――ことしの初夏、みすず書房より新訳が刊行された、ブルース・チャトウィン著『ウィダーの副王』。
これを記念し、チャトウィンの文学世界に造詣が深く、本書でも充実した解説を付した訳者の旦敬介さんと、写真家の石川直樹さんとお招きしてのトークイベントを開催いたします。
旦敬介さんは、作家であり、世界を移動する旅人でもあります。アフリカ、南米の旅から生まれた短編集『旅立つ理由』の刊行も記憶に新しいところ。
2012年の1年間はこの作品の起点となるブラジルのバイーアで暮らし、2013年の1年間は、旧ダホメーのベナン共和国で、「ブラジルからの帰還人」の調査をしました。
石川直樹さんは、『ウィダーの副王』のモデルとなった土地ダホメー(現べナン共和国)を訪ねた際に撮影したを写真を、作品集『VERNACULAR』(赤々舎)に収めています。
そんなおふたりに、本書をめぐって、自由にお話いただきます。
ふるってご参加ください。
※当日はアフリカのビールを仕入れる予定です(ご注文の方は、当日ドリンク代が変更となります)。お楽しみに。
※イベントチケットの予約・購入に関するご案内はこちら。
2015/11/23 Mon -
旦敬介×石川直樹
「ブルース・チャトウィンの原点へ」
『ウィダーの副王』
(みすず書房)刊行記念
- 07/01 Tue 吉見俊哉×若林幹夫
「建築と出来事」
『このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った』(岩波書店)
『ダイアローグ〈危機〉の時代の長谷川逸子・原広司・伊東豊雄』(millegraph)W刊行記念 - 07/02 Wed 豊﨑由美×木下眞穂
第93回「読んでいいとも! ガイブンの輪」 - 07/04 Fri 富川岳×ドミニク・チェン×桜井祐
「懐かしい異界へ。人ならざるものと共に生きる」
『シシになる。──遠野異界探訪記』(亜紀書房)刊行記念 - 07/05 Sat 岡本敬子×岡本仁
「ふたりへの質問エクストラ 」
『私のふたり暮らし』(光文社) - 07/05 Sat 武田砂鉄×石村博子×舛友雄大
「ノンフィクションの現在地」
Presented by 講談社本田靖春ノンフィクション賞 - 07/06 Sun あきやあさみ×竹村優子
「服と仕事と私~制服化スタイリストと編集者の場合」 - 07/10 Thu 星田英利×フルーツポンチ村上健志×日下怜奈×トット桑原雅人×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第13回公開収録 - 07/11 Fri 星野文月×竹中万季×野村由芽
「それぞれの日記のなかにある、人との距離や関係性」
『不確かな日々』(ひとりごと出版)
刊行記念 - 07/12 Sat 西尾康之×斎藤環
「『不死』の時代とは?:アーティストと精神科医が語り尽くす」
『不死』(くま書店)刊行記念 - 07/13 Sun 柴田元幸×惠愛由
「あなたをみている」
『体の贈り物』(twilillight) 復刊記念 - 07/13 Sun 服部円×長崎訓子
「身近なネコをよく知り、
イラストにするワークショップ」
『ネコは(ほぼ)液体である』
(KADOKAWA)刊行記念 - 07/14 Mon 【全6回】連続講座 鈴木涼美「夜の読書室」Vol.3
- 07/15 Tue 松尾潔×丸屋九兵衛
「90年代R&Bとは何だったのか? 」
『松尾潔のメロウなライナーノーツ』(リットーミュージック)刊行記念 - 07/16 Wed 三宅陽一郎×清木 昌
「ゲームデザイン、人工知能、数学――レトロゲームから未来まで」
『数学がゲームを動かす!』
(日本評論社)刊行記念 - 07/18 Fri 阿部恭子×インベカヲリ★
「家族という密室で何が起きているのか」
『近親性交―語られざる家族の闇』(小学館)刊行&重版記念 - 07/22 Tue 周司あきら×杉田俊介
「語られにくいミサンドリー(男性嫌悪)から『男』の話をしよう」
『ラディカル・マスキュリズム』(大月書店)
『男性学入門』(光文社)W刊行記念 - 07/23 Wed 椎名基樹×せきしろ
「バカサイトークライブ」 - 07/24 Thu 米澤渉×ひろのぶと株式会社
「踊る阿呆たちの本づくり」
『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)
刊行記念 - 07/26 Sat 水上文×清水晶子
「ここにも、そこにも、どこにでも:日本語圏と英語圏のクィアポリティクスを辿って」
『クィアのカナダ旅行記』(柏書房)刊行記念 - 07/27 Sun 太田充胤×山本ジャスティン伊等×山本浩貴
「こんなにも踊りたい、私たちの魂について」
『踊るのは新しい体』(フィルムアート社)刊行記念 - 07/28 Mon 金原ひとみ×朝吹真理子×山中瑶子
「韓国と出会って考えたこと」
新文芸誌『GOAT meets』(小学館)刊行記念 - 07/29 Tue 枝優花×平井珠生
「ラジオでしゃべるって、こんなにむずかしくて、たのしい。」 - 07/30 Wed 梶原阿貴×高橋伴明
「家族とジェンダーと革命」
『爆弾犯の娘』(ブックマン社)
刊行記念 - 08/04 Mon 古賀及子×菊地朱雅子×北野太一×油利可奈
「生活を(書き)続けるために」
『巣鴨のお寿司屋で、帰れと言われたことがある』(幻冬舎)
『おかわりは急に嫌 私と『富士日記』』(素粒社)
『よくわからないまま輝き続ける世界と 気がつくための日記集』(大和書房)刊行記念 - 08/13 Wed 小島雄一郎×吉田将英
「拗らせたおじさん二人が考える『選べない』時代の生き方」
『「選べない」はなぜ起こる?』(サンマーク出版)刊行記念 - 08/31 Sun 小川公代×中村隆之
「この世界を生きるための物語と音楽」
『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』
『ブラック・カルチャー』(岩波書店)刊行記念