1980年代に小さなFM送信機を用いた「自由ラジオ」を提唱し、電子メディアによるパフォーマンス活動や、大学でのユニークな教育実験などを行うなど、既存の制度やメディアの枠組みにとらわれない先駆的な試みを実践してきたメディア批評家の粉川哲夫氏。氏は一方で、毎日のように映画館や試写会に通い、浴びるように映画を見続けている〝映画亡命者〟でもあり、優れた映画評をさまざまな媒体や自身のウェブサイト「シネマノート」(http://cinemanote.jp)に執筆している。この度、粉川氏が1990年代から2012年に発表した映画評を再編集した待望の映画評論集『映画のウトピア』(芸術新聞社)の刊行を記念して、粉川氏と同書編者の渡部幻氏を招いたトークライブを開催します。映画をコンテンツとして楽しむだけでなく、映画を通して社会やメディアのあり方を考察し、映画に没入することで起こるリアリティの変容で更新される世界の認識。その粉川流の映画の見方を解き明かします。
――「ユートピア」とは、ギリシャ語の「ウ・トピア」(無場所)つまりどこにもない場所(トピア)である。しかし、このことは、ユートピアが、単に空想的な所産にすぎないということを意味しない。手を伸ばせば触れるような形では存在しないとしても、それが「実質的に」(ヴァーチャルに)生き生きと存在してもかまわない。その意味で、ユートピア=ウトピアにとっては、映画は格好の場所になるし、映画こそがユートピアの里かもしれない。――「シネマノート」2006-08-09より
粉川哲夫(こがわ・てつお)
1941年生まれ。著書に『メディアの牢獄』、『情報資本主義批判』、『電子人間の未来』、『カフカと情報化社会』、『シネマ・ポリティカ』、『もしインターネットが世界を変えるとしたら』など多数。映画批評は、『キネマ旬報』、自主サイト「シネマノート」(http://cinemanote.jp)に定期的に執筆中。
渡部幻(わたべ・げん)
1970年生まれ。ビデオレンタル店や古本屋などで勤務ののち、現在に至る。『70年代アメリカ映画100』『80年代~』の主編者であり、共編書に『90年代~』『ゼロ年代~』(すべて芸術新聞社)がある。現在シリーズ最終となる『60年代アメリカ映画100』を編集中。
小林英治(こばやし・えいじ)
1974年生まれ。編集者・ライター。STUDIOVOICE、.fatale『IMA』など各種媒体で映画・音楽・アート・文学関連の執筆、インタビューなどを行なう他、雑誌『DU』(ディスクユニオン)、書籍+DVD Open Reel Ensemble『回典 En-Cyclepedia』(学研)の企画・編集などを手がける。
2014/01/30 Thu -
粉川哲夫×渡部幻 「 映画に没入せよ! ~粉川流メディア思考法~ 」 『映画のウトピア』(芸術新聞社)刊行記念
- 03/31 Mon 塙幸枝×小川公代 「映画と障害のつながりを“ケア”するために」 『スクリーンのなかの障害』(フィルムアート社)刊行記念
- 04/03 Thu 木村祥一郎×藤原隆充
「遠まわりをした老舗家業の働き方」
『ちいさな会社のおおらかな経営』(主婦の友社)刊行記念 - 04/04 Fri 北村浩子×マライ・メントライン
「“日本語は難しい”と日本人は言うけれど? 」
『日本語教師、外国人に日本語を学ぶ』(小学館)刊行記念 - 04/05 Sat 清田隆之×大島育宙「正しさの一歩外で考える、「俺たち」と「恋愛」の現在地」『戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ』(太田出版)刊行記念
- 04/06 Sun 栗田隆子×武田砂鉄「「働けない人」と「働けた人」で考える──わたしたちの社会と労働のいびつな関係」『「働けない」をとことん考えてみた。』(平凡社)刊行記念
- 04/07 Mon 藤原ヒロシ×皆川壮一郎×嶋浩一郎
「無駄と余白と奥行きと」 - 04/09 Wed 藤澤ゆき×石田真澄×野村由芽
「手を動かしながら生きていく」
『わたしを編む つくる力を、手のうちに YUKI FUJISAWA制作日記』刊行記念 - 04/10 Thu 藤津亮太×前島賢
「頼まれなくたって、語ってやる!」
『富野由悠季論』(筑摩書房)刊行記念 - 04/11 Fri 宮崎晃吉×川口瞬×内沼晋太郎
「これからの小さな出版と、本の届け方」
『最小文化複合施設』(HAGISO)出版記念 - 04/12 Sat きださおり× 明円卓 × 藤井颯太郎
「What shall we do here? この場所で何するナイト」 - 04/13 Sun 安達茉莉子×長島有里枝
「リアルライフでフェミニズムを生きるわたしたち」
『あなたのフェミはどこから?』(平凡社)刊行記念 - 04/15 Tue 西寺郷太×高橋芳朗「J-POP丸語り」『J-POP丸かじり』(ソウ・スウィート・パブリッシング)刊行記念
- 04/17 Thu ゲッツ板谷×新保信長×原カントくん
「自分のことってどう書けばいいのか? 」
『ともだち』(徳間書店)刊行記念 - 04/18 Fri 土佐有明×石川浩司×蔦木俊二
「イカ天とバンドを続けることとあの頃の話」
『イカ天とバンドブーム論』(DU BOOKS)刊行記念 - 04/20 Sun フィクショネス 文学の教室
『金閣寺』『美しい星』を
3ヶ月かけてじっくりと読む - 04/20 Sun 金川晋吾×柴崎友香×小田原のどか
「80年目、爆心地・長崎の写真と言葉」
『祈り/長崎』(書肆九十九)刊行記念 - 04/21 Mon 甲谷 一×佐藤浩二
「プロデザイナーが考える
“ロゴデザイン”のちょっと深い裏話」
『カンタンでちょっぴり深いロゴづくり』
(エムディエヌコーポレーション)刊行記念 - 04/23 Wed 鈴木涼美×紗倉まな×原カントくん
「動物になりきれない、愛しい人間たちの“欲望”」
『ノー・アニマルズ』(ホーム社)刊行記念 - 04/25 Fri とれたてクラブ×ゆっきゅん×潟見陽「こういう物語をずっと待ってた」『なかよしビッチ生活』(エトセトラブックス)刊行記念
- 04/26 Sat 少年アヤ×なま×野口理恵
「なにでもないわたしでいられますように」
『わたくしがYES』『USO 6』『生きる力が湧いてくる』トリプル刊行記念 - 04/30 Wed 古舘佑太郎×又吉直樹
「旅と文」
『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』(幻冬舎)刊行記念