写真家の橋口譲二さんが著した『ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち』の刊行を記念して、トークイベントを開催いたします。太平洋戦争の前後に旧植民地や国外に渡り、戦争終結後も自らの意志で現地にとどまることを選び、そこで暮らしている人たちがいました。それは元兵士たちだけではありません。本書は、彼ら/彼女らに会うために、インドネシア、台湾、中国、韓国、サイパン、ロシア、キューバなどを訪ね歩いた橋口さんが、これまで取り組んできた写真集や通常のノンフィクションとも異なる新たな表現を模索しながら、最初の取材から刊行までに20年の歳月をかけて書き下ろされた作品です。
“今を生きる僕らは日々の生活の中で人間関係や社会や現実との付き合い方に悩み、希望や挫折を繰り返している。当たり前のことだが戦前、戦中、戦後を生きた人たちも僕らと同じ人間で個々の悩みや問題を抱え、希望を持って生きて来ていたはず。(…)個人を見つめるその人の語る言葉に寄り添うことで、僕らが知らない「戦争」やあの時代を生きていた人たちが見ていた希望や夢に近づけるかもしれない。” ——「まえがき」より
収録された10人それぞれの生き方からは、「戦争」という言葉で一括りにされることで抜け落ちてしまう、当時の社会の雰囲気や多様な個人の価値観が伝わってくると同時に、寛容さが失われつつある現在の社会を逆照射してくるようです。
そして今回のトークの相手には、ミュージシャンの寺尾紗穂さんをお迎えします。同じく日本統治時代の旧南洋諸島で営まれていた人々の生活に興味を抱いた寺尾さんも、サイパンや沖縄、八丈島へと赴いて独自の調査を重ね、南洋の地で紡がれた人々の交流や記憶、戦争の痕跡を「個」の視点から書き記した『南洋と私』(リトルモア)を昨年出版されています。世代も職業を違う2人に共通する、戦争を知らない私たちに伝えたかったこととは? 初対面となる2人の表現者の対話にご期待ください。
(プロフィール)
橋口譲二(はしぐち・じょうじ)
1949年鹿児島県生まれ。19歳で上京。日本各地を放浪の後、写真家となる。1981年、路上に集まる若者をとらえた『視線』でデビュー、以来一貫して人間の存在を見つめるドキュメントを発表し続けている。主な作品に『ベルリン物語』『都市で暮らす一人の部屋』『17歳の軌跡』『対話の教室』(星野博美との共著)、写真集に『俺たち、どこにもいられない』『十七歳の地図』『職』『夢』『動物園 ZOO』『Father』『Couple』『Hof−−ベルリンの記憶』など多数。
寺尾紗穂(てらお・さほ)
1981年東京都生まれ。大学時代に結成したバンドThousands Birdies’Legsでボーカル、作詞作曲を務める傍ら、ピアノ弾き語りの活動を始める。2015年には7作目となるアルバム『楕円の夢』をリリース。2010年よりビッグイシューサポートの音楽ライブ、座談会、炊き出しなどを行う「りんりんふぇす」を主催するほか、映画やCMへの楽曲提供、ノンフィクションやエッセイなど執筆の分野でも活躍中。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』がある。
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2016/06/11 Sat -
橋口譲二×寺尾紗穂
「声に寄り添う〜個人として、表現者として」
『ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち』
(文藝春秋)刊行記念
- 11/21 Thu 吉川公ニ×森真紀×住谷知厚
「伝える広報から伝わる広報へ 広報の心とは何か。」
『広報の心』(理工図書)刊行記念 - 11/22 Fri チョ・イェウン×三宅香帆
「新感覚ホラー小説を通じて見る、日韓の文学現在地」
『カクテル、ラブ、ゾンビ』(かんき出版)刊行記念 - 11/23 Sat 一穂ミチ×高瀬隼子
「これからの恋愛のかたち」
『恋とか愛とかやさしさなら』(小学館)
『新しい恋愛』(講談社)W刊行記念 - 11/24 Sun チョン・ジヘ×原田里美×内沼晋太郎
「好きなことを続けていく方法」
『私的な書店─たったひとりのための本屋─』(葉々社)刊行記念 - 11/25 Mon ソ・イジェ×原田いず×大田ステファニー歓人
「読むことと見ることの間で かつて映画を学んでいた日韓の小説家が語る、世界の切りとり方」
『0%に向かって』(左右社)刊行記念 - 11/28 Thu TaiTan×内沼晋太郎
「『人生を編集する』ってなんだろう」
「EDiT」2025年版手帳発売記念 - 11/29 Fri 金原ひとみ×小川哲×スケザネ
「文学は世界をひっくり返せるか」
新文芸誌『GOAT』(小学館)刊行記念 - 11/30 Sat パク・ヘウル×ファン・モガ×inch magazine
「新たなる韓国SFの世界」
『この星を離れた種族』(inch magazine)『地上適応困難症』W刊行記念 - 11/30 Sat 岡野八代×重田園江
「ちいさなケアのみつけ方 いま改めて考えるケアの倫理」 - 12/01 Sun 宮崎智之×高橋久美子
「美しいエッセイについて」
『平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版』(筑摩書房)重版記念 - 12/02 Mon 吉本ばなな×又吉直樹×バイク川崎バイク×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」
第七回公開収録 - 12/04 Wed 小池昌代×三角みづ紀×岡本啓
「わたしたちが放課後によみたい詩 」
『放課後によむ詩集』(理論社)刊行記念 - 12/05 Thu 和嶋慎治×志村つくね
「僕の作詞作法─バンド生活三十五年によせて」
『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』
(百年舎)刊行記念 - 12/06 Fri
絵津鼓×大原扁理
「Wデビュー10周年記念 漫画家と作家が語る、お金と仕事とこれからのこと」
『IRUKA 3』(forbit)
『シン・ファイヤー』(百万年書房)W刊行記念 - 12/07 Sat 堀元見×水野太貴
「ゆる言語学ラジオ本大賞2024 発表会」 - 12/08 Sun 菊地成孔×相田冬二
「映画を奏でるということ」
『クチから出まかせ』(集英社)
『あなたがいるから』(Bleu et Rose)W刊行記念 - 12/09 Mon 横田増生×平山亜佐子「女と男の潜入取材(化け込み)語り尽くし!」『潜入取材、全手法 調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで』(KADOKAWA)重版記念
- 12/10 Tue ー『編むことは力』翻訳刊行記念 ー
佐久間裕美子×super-KIKI
「ものづくり(糸・布・針)から考える持続可能な社会運動」 - 12/12 Thu 池上晴之×ムロケン×ウイリアム・ヘイムス「ザ・ラスト・ワルツ見聞録&ロビー・ロバートソンの実像」『ザ・バンド 来たるべきロック』(左右社)刊行記念
- 12/14 Sat きださおり×梨×松澤茂信×小野寺正人
「What shall we do here? この場所で何するナイト」 - 12/15 Sun 藤田雄介×武田清明×権藤智之
「建具談義 Vol.2:建具と構法・部品・流通」
『建具の手がかり』(学芸出版社)刊行記念 - 12/16 Mon 中川淳一郎×ヨッピー×山崎幸治「2024年『都道府県魅力度ランキング』最下位記念! SAGA語り」
- 12/21 Sat 豊﨑由美×広瀬大志
×小島日和×向坂くじら×張文經
×のもとしゅうへい×故永しほる
×小笠原鳥類×平川綾真智
「現代詩フェスティバル 詩の未来へ」
『カッコよくなきゃ、ポエムじゃない! 萌える現代詩入門』
(思潮社)刊行記念 - 01/09 Thu 鳥羽和久×古賀及子
「子どもと私の“観察”のしかた 」
『「学び」がわからなくなったときに読む本』(あさま社)『好きな食べ物がみつからない』(ポプラ社)W刊行記念 - 01/12 Sun 田中さとみ×藤原安紀子×山本浩貴×佐藤文香
「アニメの予告編を眺めるように/詩を書いている」
『sleeping cloth スリー ピング クロス』(左右社)刊行記念