北園克衛(1902-1978)は大正期前衛美術運動にアーティストとして名を残し、シュルレアリスムの日本における実践者、また前衛詩の旗手となって戦前の昭和を駆け抜け、戦後においても言語実験の歩みを滞らせることなく最晩年まで活動をつづけました。感情や意味を捨てながらことばの「色やかたち」で情緒や湿度を伝達する独特の詩の設計は、没して30年以上を経た今も色あせることなく新鮮な輝きを放っています。また、主宰した機関誌『VOU』のエディトリアルデザインや書籍の装丁の仕事などでも独自の才を発揮し、これまでにも、デザイナーや写真家、ミュージシャン、建築家など、ジャンルを超えた新しい読者を開拓しながら顧みられ、参照されることが多い詩人です。
このたび思潮社から刊行された2冊の「北園克衛選詩集」は、戦前・戦後を分冊として、いわゆる昭和前衛詩の尖端にあった詩人としての側面(『記号説』)と、国際的な言語実験の実践者としての側面(『単調な空間』)の両方に光を当て、長らく断片的にしか触れることのできなかったの彼の詩の行跡の全体像を俯瞰できる待望の選詩集です。
この刊行を記念して、詩集の構成をされた金澤一志さんをホスト役に、歌手の佐藤奈々子さんと音楽家の笹久保伸さんを迎えた一夜限りのスペシャル・ライブを開催します。戦前に書かれたモダニズム詩「記号説」の新解釈と佐藤さんの朗読をメインに、北園克衛の詩篇を元にした笹久保さんによるオリジナル楽曲の演奏(本邦初!)、作品の裏側にある北園克衛のサイドストーリーなどを交え、真夏の夜を彩ります。歴史的な意義をはなれてなお共時的な刺激をもたらす北園克衛の詩の魅力、その現代的な感覚をぜひお楽しみください。

金澤一志(かなざわ・ひとし)
1959年生まれ。詩人、エッセイスト。編著に『カバンのなかの月夜─北園克衛の造型詩』(国書刊行会)、『北園克衛の詩』(思潮社)、『魔術師になるために』(思潮社)など。雑誌『idea(アイデア)』2014年 5月号では北園克衛特集ページの監修を担当。新たに編んだ北園克衛選詩集『記号説』『単調な空間』は、北園克衛の命日6月6日に刊行された。
http://www.kanazawahitoshi.net
佐藤奈々子(nanaco/さとう・ななこ)
東京都生まれ。歌手・写真家。1977年、佐野元春との共作『ファニーウォーキン』でデビューし、4枚のソロアルバム他をリリース(コロムビア)。その後カメラマンとなり、1987年より5年間写真・映像制作のため、パリに在住。1993年、帰国後15年ぶりに音楽活動を再開。1996年のアルバム『LOVE IS A DRUG』はイギリス、アメリカ、日本(東芝EMI)でリリースされ、タイトル曲のシングルは、日本人アーティストで初めて、NMEの“single of the week” に選ばれる。日本のみならず世界的に音楽を発信し、写真家として広告、雑誌、Coccoや細野晴臣といったミュージシャンのCDジャケットなどの撮影を手がける他、CMのナレーションも多数出演。近作に、2013年リリースのカメラ=万年筆とのコラボレーションアルバム『old angel 』(diskunion)がある。
http://www.rivernanaco.com
笹久保伸(ささくぼ・しん)
1983年生まれ。音楽家。17歳より本格的に音楽活動を始め、日本各地で様々な演奏家と共演。2004年~2007年にペルーに在住しアンデス音楽を研究。現代音楽、クラシック、アンデス音楽などを演奏し、Sylvano Bussotti、高橋悠治、杉山洋一、Carlo Domeniconiらの新作の初演している。これまでにイタリア、ギリシャ、ブルガリア、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、チリでソロ公演を行なう。帰国後は秩父前衛派として音楽、小説、映画、大学講義、美術、演劇など様々な分野で活動。2014年までに22枚のCDを発表、藤倉大とのコラボレーション作品が2014年9月にソニーより発売予定。
http://shin-sasakubo.com
※イベントチケットの予約・購入に関するご案内はこちら。
2014/08/16 Sat -
金澤一志 ×佐藤奈々子×笹久保伸「真夏の夜の 北園克衛 ( キットカット ) 」北園克衛詩集『記号説 1924-1941』『単調な空間 1949-1978』刊行記念
- 12/08 Mon 桜林直子×ジェーン・スー
『となりの雑談』スペシャルトークイベント - 12/09 Tue 梶谷真司×原田央
「人文学の面白さってなに? 」
『ジブンの世界はジンブンでできている』(ジブンジンブン編集部)刊行記念 - 12/11 Thu 倉田茉美×戸田真琴
Podcast『水割りなあたしたち』
最速イベント!B&Bのお酒を飲み尽くす!?2025年お焚き上げ懺悔ナイト! - 12/12 Fri 鴻上尚史×鈴木成一
「装丁家ことはじめ 鈴木成一エピソードゼロ」
40周年記念展示『鈴木成一書店』開店記念 - 12/13 Sat けんご×酒村ゆっけ、×しんのすけ×ちゃんめい
「MEW’S BOX TALK FES 2025年末SP ー今年のベストコンテンツを語ろうー」 - 12/14 Sun くどうれいん
「今年の移動をねぎらおう!」
『もうしばらくは早歩き』(新潮社)刊行記念 - 12/14 Sun トミヤマユキコ×藁谷周太郎
「新漫画レーベル・よすみ編集部Presents 紙と漫画の現在地~わかりづらさを読みやすく~」
『別冊よすみ 第一集』(株式会社ソラジマ)刊行記念 - 12/17 Wed 渡邉康太郎×嶋浩一郎×YOM YOM PR CLUB
「読書の楽しみ〜具体と抽象の往復運動、そして、新たな見立ての発見へ」 - 12/18 Thu 浅生鴨×幡野広志
「仕事が君を選ぶのだ!」
『選ばない仕事選び』(筑摩書房)刊行記念 - 12/19 Fri 髙良真実×穂村弘
「近現代短歌はおもしろい!」
『みんなの近代短歌』
『はじめての近現代短歌史』(草思社)刊行記念 - 12/20 Sat 第94回「読んでいいとも!ガイブンの輪
年末特別企画
オレたち外文リーガーの自信の1球と来年の隠し球 vol.14 - 12/21 Sun 平田晃久×石上純也
「平田晃久と石上純也の響きの響き」
『建築は響きのなかに現れる』(王国社)刊行記念 - 12/21 Sun シシヤマザキ×井上咲楽
「食がつくる身体について」
『つながるからだ』(光文社)刊行記念 - 12/22 Mon 桜林直子×坂口恭平
「<生きのびる>ための雑談」 - 12/23 Tue 西加奈子×ピース又吉直樹×アキナ山名文和×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第18回公開収録 - 12/25 Thu 藤井青銅×原田ひ香
「ラジオ100年 読むラジオ、聴く小説」
『ラジオな日々』(朝日新聞出版)
『黄昏ラジオ』(角川春樹事務所)W刊行記念 - 12/26 Fri 上野千鶴子×山内マリコ×山本蓮
「地方女子たちの休日」
『地方女子たちの選択』(桂書房)刊行記念 - 12/27 Sat 永井玲衣×アリサ
「世界はまだまだかくれている」
『これがそうなのか』(集英社)刊行記念 - 12/27 Sat ひらりさ×穂村弘
「いまさらですが、大人入門 」
『まだまだ大人になれません』(大和書房)刊行記念 - 01/09 Fri ガクテンソク奥田×ナイチンゲールダンス中野なかるてぃん&ヤス×しずる純×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第19回公開 - 01/23 Fri 【12/6(土)→1/23(金)開催日変更】
紗久楽さわ×溝口彰子
「紗久楽さわと『百と卍』──来し方、そして行く末」
『おんなじものが、違ってみえる 江戸と漫画とボーイズラブと』(フィルムアート社)刊行記念