『「奇跡の自然」の守りかた 三浦半島小網代の谷から』は、三浦半島の先っぽに残った70haの自然を30年かけて保全し、誰もが楽しめる場所として公開するに至った、自然保護の歴史を綴った本です。
舞台となったのは、三浦半島小網代の谷。この谷は、川の最上流から河口、そして海に面した干潟までがまるごと自然のまま、家も工場も道路のないまま残された、関東唯一の自然です。
が、1985年にゴルフ場を含む大規模リゾート開発が持ち上がり、小網代の自然は消えるはず、でした。
しかし31年たったいま、小網代は、年間10万人のお客さんを集めるエコリゾートの見本のような場所になりました。もちろん、自然をまるごと残したかたちで。
一晩に1000匹を超えるホタルが飛び交い、2000種以上の生き物が暮らし、夏には森中に住むアカテガニが一斉に海にお産にやってくる。
では、どうやって小網代の自然は守られたのか?
通常のイメージではこうですね。
1 珍しい絶滅危惧種をみつけて、貴重だから守れ! という。
2 開発する企業や自治体を「悪者だ!」といいふらす。
3 開発は何が何でも反対! 木一本倒すな! と主張する。
4 いろいろな人たちに声をかけて反対デモを行う。
5 政治家にお願いして、開発反対の声を拡散する。
でも、小網代の保全では、こうした反対運動型の運動はいっさいやりませんでした。じゃあ、どうやって守ったのか? 今回のイベントでは、小網代の保全の中心人物であり、本書の著者であるNPO小網代野外活動調整会議代表の、岸由二慶應義塾大学名誉教授に、本書の共著者であり岸教授の教え子でもある、NPOの副代表にして出版プロデューサーの柳瀬博一が、その秘密を聞きます。
‖ 出演者プロフィール ‖
岸 由二 (きし ゆうじ)
NPO小網代野外活動調整会議 代表
慶應義塾大学名誉教授
理学博士 進化生物学・生態学者
1947年生まれ 横浜市立大学文理学部生物科卒業。東京都立大学理学部博士課程修了。
流域アプローチによる都市再生論を研究・実践。鶴見川の流域保全をはじめ、全国の河川の流域保全の仕事を行う。慶大助教授時代に小網代の自然を発見、教え子の柳瀬を巻き込み、小網代を保全して31年。著書に『流域地図の作り方』『いのちあつまれ小網代』、訳書にEOウィルソン『人間の本性について』、共訳書にリチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子」など。
柳瀬博一(やなせ ひろいち)
休日はNPO小網代野外活動調整会議 副代表
平日は日経ビジネスチーフ企画プロデューサー
1964年生まれ 慶應義塾大学経済学部卒業 大学生時代に岸さんと授業で出会い、小網代の保全仕事に巻き込まれて31年。
著書に『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人になっちゃったわけ』(小林弘人と共著、晶文社)、『混ぜる教育』(崎谷実穂と共著、日経BP社)。担当編集した書籍に『小倉昌男 経営学』『アー・ユー・ハッピー?』『日本美術応援団』『社長失格』「流行人類学クロニクル」『養老孟司のデジタル昆虫図鑑』(すべて日経BP社)など多数。
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2016/06/22 Wed -
岸由二×柳瀬博一
「オキテやぶりの自然保護のやり方、全部教えます」
『「奇跡の自然」の守りかた 三浦半島・小網代の谷から』(ちくまプリマー新書 筑摩書房)刊行記念
- 05/18 Sun フィクショネス 文学の教室
『金閣寺』『美しい星』を
3ヶ月かけてじっくりと読む - 05/18 Sun ひうらさとる×小川奈緒
「50代からの軽やかな”旅”と”伝え方”」
『58歳、旅の湯かげん いいかげん』
『伝え上手になりたい』(扶桑社)W刊行記念 - 05/19 Mon 永谷亜矢子×嶋浩一郎
「なぜあの観光地は選ばれるのか? 」
『観光"未"立国』(扶桑社)刊行記念 - 05/20 Tue 鈴木成一×大島依提亜×大久保明子
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『【全5回】本屋B&B 超実践 装丁の学校 ファイナル』開校記念 - 05/21 Wed 浜島直子×一田憲子
「感情を言葉にすること」
『キドアイラク譚』
『もっと早く言ってよ。』(扶桑社)W刊行記念 - 05/23 Fri 大塚ひかり×春画ール
「歴史から悪意の本質を考える 」
『悪意の日本史』(祥伝社)刊行記念 - 05/24 Sat 森本淳生×鈴木亘×藤山直樹
「人文学から見る落語/落語から見る人文学」
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- 05/29 Thu 中本千晶×早花まこ
「読む“タカラヅカ”の魅力」
『相克のタカラヅカ』(春風社)刊行記念 - 05/30 Fri 堀井美香×今井雄紀×嶋浩一郎
「ラジオの先輩に聞いてみよう! ラジオの魅力と聞く力」 - 05/31 Sat 白石正明×牟田都子
「ケアと校正」
『ケアと編集』(岩波書店)刊行記念 - 06/01 Sun 濱中淳子×伊藤賀一
『大学でどう学ぶか』
『もっと学びたい!と大人になって思ったら』
(筑摩書房)W刊行記念 - 06/02 Mon 秋吉健太×中村貞裕
「“編集力とミーハー力” 。“好き”を仕事にする技術——編集者と経営者、それぞれの視点から」
『原点回帰 山田孝之、新しいコミュニティをつくる』(blueprint)刊行記念 - 06/03 Tue 穂村弘×脇田あすか×木村亮×筒井菜央
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「おお、限りなく現代の詩人たち」
『おお、限りなく懐かしい動物たち』(ライトバース出版)刊行記念