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東日本大震災から10年の今年、大災害が被災者の心に残すトラウマを考察したアメリカ社会学の古典『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』が、初めて邦訳されました。
それを記念し、訳者の一人、大阪大学助教・宮前良平さんと写真家・浅田政志さんによるトークイベントを開催いたします。
本書で描かれるバッファロー・クリーク洪水とは、1972年2月、大雨で鉱山ゴミのダムが決壊し、谷全体が黒い水に飲み込まれた結果、125人が亡くなり、住民の8割が家を失った未曾有の人災です。家族のような存在だったコミュニティが崩壊したことで、生存者たちは深いトラウマを抱えることになりました。
被災者への膨大なインタビューと綿密なフィールドワークから、被災地における「集合的トラウマ」の輪郭を描き出した本書は、50年経った今も世界で読み継がれています。
訳者は、大阪大学大学院で災害学を学んだ、3人の若き研究者。
東北や熊本などの被災地で活動する中で、非当事者としてのかかわりに悩んでいたとき本書に出会い、被災者の空白を丁寧に読むことで聴ける声があると気づきます。
訳者の宮前さんと、今回ゲストにお迎えする写真家の浅田さんは、岩手県野田村で被災した写真やアルバムを洗浄し、持ち主に返却するボランティアプロジェクトに携わっていた仲間同士です。
第三者として被災地で活動した経験を交えながら、被災者たちの言葉にならない声に耳をすますことについて語り合っていただきます。
異色の組み合わせによるトークを、どうぞお楽しみに!
*『そこにすべてがあった』については、特設サイトをご覧ください。
*書籍とセットでお求めの方には、宮前さんら訳者による鼎談を収録したニュースレター「夕書房通信」をプレゼント!
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【出演者プロフィール】
宮前 良平(みやまえ・りょうへい)
1991年長野県須坂市生まれ。大阪大学人間科学研究科博士後期課程修了(博士・人間科学)。大阪大学大学院人間科学研究科助教、関西大学・立命館大学非常勤講師。専門は災害心理学、グループ・ダイナミックス。著書に『復興のための記憶論——野田村被災写真返却お茶会のエスノグラフィー』(大阪大学出版会、2020)がある。
浅田政志(あさだ・まさし)
1979年、三重県津市生まれ。日本写真映像専門学校卒業後、写真家として独立。専門学校在学中から撮りためた家族写真をまとめた写真集『浅田家』(赤々舎)で、第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。国内外で個展を開催し、著書も多数。写真集に『アルバムのチカラ 増補版』(文・藤本智士)『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)『浅田撮影局 せんねん』(赤々舎)など。
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