今年3月に限界研『東日本大震災後文学論』が刊行されました。
同書は、数年経った「震災後文学のいま」を多面的な視点から論じた内容になっています。
震災から6年が経過した今年。政府は「一定の節目を超えた」と発言し、首相記者会見を取りやめたことに対し、さまざまな意見がネット上をはじめとして出されていました。
一方、フィクションの方に目を向けてみると、去年は『シン・ゴジラ』や『君の名は。』など、震災を想起させる作品が多数生み出され、爆発的なヒットを記録しています。
今回の論集を編むにあたり、限界研では多様な震災後文学を読んでいきました。このことを通じて、一見すると変化の薄そうだった「震災後文学」も、共同討議を通してあまたの論点が挙げられ、大きく変化していることに気づかされたそうです。
震災後文学で描かれる問題は、今現在も、現実のこの場で続いています。
では、震災と文学の関係は一体どのようなものなのでしょうか。
7月19日に行われた芥川賞選考会で選ばれた沼田真佑さんの「影裏」は、まさに震災後を題材とした作品でした。震災後、文学はどのように変わっていったのでしょうか。
限界研メンバーの批評家である藤田直哉さんは、現在『震災後文芸』ブロジェクトを行なっています。
クラウドファンディングで100万円以上の出資があった本企画は、『東日本大震災後文学論』での視座とともに、震災を経験した人の言葉を集めた文芸誌を制作する予定だそうです。イベントではこのことについても触れる予定です。
https://camp-fire.jp/projects/view/24404
本イベントは、『東日本大震災後文学論』刊行を記念して編著の杉田俊介さん、藤井義允さん、藤田直哉さんが登壇、ゲストとして『再起動(リブート)せよと雑誌はいう』などの著書がある文芸批評家の仲俣さんを迎え、「震災後文学のいま」を読み解いていきます。
【出演者プロフィール】
仲俣暁生(なかまた・あきお)
1964年生まれ。文芸批評家、編集者。『CITY ROAD』『WIRED日本版』『季刊・本とコンピュータ』などの編集部を経て、2009年より「本と出版の未来」を考えるウェブサイト『マガジン航』の編集人を務める。著書に『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『再起動(リブート)せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)など。
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ)
1975年生まれ。批評家。著書に『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)、『無能力批評』(大月書店)、『宮崎駿論』(NHKブックス)、『長渕剛論』(毎日新聞出版)、『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』(集英社新書)、『宇多田ヒカル論』(毎日新聞出版)など。
藤井義允(ふじい・よしのぶ)
1991年生まれ。限界研編『ポストヒューマニティーズ』にて「肉体と機械の言葉―円城塔と石原慎太郎、二人の文学の交点」、『ビジュアル・コミュニケーション』では「拡 張するアニメ―3DCGアニメ論」を寄稿。限界研編『21世紀探偵小説』作品ガイド、「ジャーロ」(光文社)、「ユリイカ」(青土社)、「本格ミステリー・ワールド」(南雲堂)などにも文章を寄稿している。
藤田直哉(ふじた・なおや)
1983年生まれ。評論家。二松学舎大学、和光大学非常勤講師。東京工業大学大学院社会理工学研究科修了。博士(学術)。単著に『虚構内存在 筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉』(作品社)、『シン・ゴジラ論』(作品社)。笠井潔との対談『文化亡国論』(響文社)。編著『地域アート 美学/制度/日本』(堀之内出版)など。
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2017/08/30 Wed -
仲俣暁生×杉田俊介×藤井義允×藤田直哉
「いま、震災後文学を読む」
『東日本大震災後文学論』(南雲堂)刊行記念
- 08/21 Thu 佐藤良明×毛利嘉孝
「ロック音楽と資本主義の精神」
『定本 ラバーソウルの弾みかた』(岩波書店)刊行記念 - 08/22 Fri 徳谷柿次郎×木下斉×日野昌暢
「都市をrenewする! ~みんなでつくる、未来の街」
『都市と路上の再編集 LIVE NOW DEVELOPMENT』(風旅出版)刊行記念 - 08/23 Sat 西谷格×安田峰俊
「潜入ライター、“AI監視”ウイグルに迷い込む」
『一九八四+四〇 ウイグル潜行』(小学館)刊行記念 - 08/24 Sun 楊双子×リン・キン×三浦裕子
「台湾文学は、 世界でいかに翻訳されるのか」
『台湾漫遊鉄道のふたり』(中央公論新社)全米図書賞翻訳賞&日本翻訳大賞受賞記念トーク - 08/25 Mon 飯間浩明×鈴木忠平×銀シャリ橋本直 ×田辺智加(ぼる塾)×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第14回公開収録 - 08/27 Wed むらかみなぎさ×明智マヤ
『柔らかい縁』リリース記念イベント - 08/28 Thu フウ×稲垣えみ子
「とりあえず行って住んでみた 〜ヨルダンとフランスで生活体験」
『ヨルダンの本屋に住んでみた』(産業編集センター)刊行記念 - 08/30 Sat 石井健介×濱田祐太郎
「ふたりが見てきた景色について。」
『見えない世界で見えてきたこと』(光文社)&
『迷ったら笑っといてください』(太田出版) W刊行記念 - 08/30 Sat コナリミサト×武田真治×中田クルミ
「スナックバブル in B&B」
『凪のお暇』(秋田書店)完結・12巻刊行記念 - 08/31 Sun 小川公代×中村隆之
「この世界を生きるための物語と音楽」
『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』
『ブラック・カルチャー』(岩波書店)刊行記念 - 09/01 Mon 佐藤誠二朗×ATSUSHI(ニューロティカ)
「八王子~中央線~井の頭線~下北沢 僕らのパンクとインディーズ」
『いつも心にパンクを。Don’t trust under 50』(集英社)刊行記念 - 09/04 Thu 島村恭則×黒川晝車×諸星めぐる
「今日からできる! 『みんなの民俗学』実践講座(入門編)」
『Hukyu』発刊記念 - 09/05 Fri 國友公司×室橋裕和
「一人旅の流儀」
『ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街』刊行記念 - 09/07 Sun 荻上チキ×栗原俊雄×辻田真佐憲
「私たちはなぜ暴力を生んでしまったのか?」
『大日本いじめ帝国』(中央公論新社)
『「あの戦争」は何だったのか』(講談社)
W刊行記念 - 09/12 Fri 植本一子×西村佳哲
「わたしたちの安心安全な場所をつくる」
『ここは安心安全な場所』刊行記念 - 09/13 Sat 中村拓哉×磯部涼
「日本語ラップと日本社会—右傾化・ストリート・ネオリベラリズム」
『日本語ラップ 繰り返し首を縦に振ること』(書肆侃侃房)刊行記念 - 09/14 Sun 鶴見済×鴻上尚史
「みんな同じでなくていい――日本社会の生き苦しさ」
『人間関係を半分降りる 増補版』(ちくま文庫)刊行 - 09/22 Mon とあるアラ子×はらだ有彩×山本美希
「「普通」を拡張する 〜描くことがひらく世界」
『多様で複雑な世界を、いまどう描くか』(BNN)刊行記念