美術・文化・思想を中心に幅広い領域で活動した多木浩二(1928-2011)。とりわけ写真と建築は、1960年代の活動初期から一貫して重要なジャンルでした。伝説的な写真同人誌『プロヴォーク』(1968-69)などにおける写真の撮影・評論活動と、建築や家具をめぐる評論・研究活動とは並行して展開されますが、その一つの結節点として、篠原一男や磯崎新、伊東豊雄や坂本一成らの建築を写した写真が建築界に衝撃を与えます。それまで見慣れてきた建築写真とまるで異なる多木浩二の写真は、以来、「建築写真」という制度を批判するものとして象徴的に語られてきました。
『多木浩二と建築』の刊行に際した今回のイベントでは、ゲストに山田脩二さんと大日方欣一さんを迎えて、建築写真のあり方について考えてみたいと思います。山田さんは多木さんとほぼ同時期に建築写真家としての活動を開始し、80年代にはカメラマンからカワラマンへと転身された、まさに「建築写真の内と外」を知る方です。当日はスライドで写真を見せていただきながら、多木さんとの親交や、かつての建築写真をめぐる状況についてもお話しいただきます。一方の大日方さんは、写真家・大辻清司門下で山田さんの後輩にも当たりますが、写真史や写真論の文脈を踏まえつつ、山田さんや多木さんの建築写真を、より広い視野で捉えていただけることと思います。(司会:長島明夫)
『多木浩二と建築』
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イベント特設サイト
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▼プロフィール
山田脩二[やまだ・しゅうじ]淡路瓦師・写真師・酩酊師。1939年兵庫県生まれ。桑沢デザイン研究所を修了後、グラフィックデザイナーを目指して凸版印刷で印刷と写真の技術を2年間学ぶ。1960~70年代には雑誌『SD』『建築』『都市住宅』『建築文化』などで建築写真を多く撮影、並行して日本各地の農村や都市を撮り歩く。1982年に「写真家終止符宣言」、淡路島に移住し、瓦師に転身。写真集『山田脩二 日本村1969-1979』(三省堂、1979)、『日本の写真家39 山田脩二』(岩波書店、1998)、『山田脩二 日本旅1961-2010』(平凡社、2010)、著書『カメラマンからカワラマンヘ』(筑摩書房、1996)など。
大日方欣一[おびなた・きんいち]フォトアーキビスト。1960年東京都生まれ。筑波大学卒業、同大学院修士課程修了。写真関係の執筆・展覧会企画等多数。映像制作集団「Todoroki_lab」主宰。編書『大辻清司の仕事1946-1999』(モール写真パラダイム・パラダイス研究所、2000)、『大辻清司の写真──出会いとコラボレーション』(光田由里との共編、フィルムアート社、2007)。その他、多木浩二と大島洋の共編『世界の写真家101』(新書館、1997)に執筆者として参加、『日本の写真家101』(新書館、2008)では山田脩二らの解説文を執筆。
長島明夫[ながしま・あきお]編集者。1979年神奈川県生まれ。2009年に個人雑誌『建築と日常』を創刊。
2013/07/26 Fri -
『多木浩二と建築』刊行記念イベント「建築写真の内と外」 山田脩二×大日方欣一
- 04/03 Thu 木村祥一郎×藤原隆充
「遠まわりをした老舗家業の働き方」
『ちいさな会社のおおらかな経営』(主婦の友社)刊行記念 - 04/04 Fri 北村浩子×マライ・メントライン
「“日本語は難しい”と日本人は言うけれど? 」
『日本語教師、外国人に日本語を学ぶ』(小学館)刊行記念 - 04/05 Sat 清田隆之×大島育宙「正しさの一歩外で考える、「俺たち」と「恋愛」の現在地」『戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ』(太田出版)刊行記念
- 04/06 Sun 栗田隆子×武田砂鉄「「働けない人」と「働けた人」で考える──わたしたちの社会と労働のいびつな関係」『「働けない」をとことん考えてみた。』(平凡社)刊行記念
- 04/07 Mon 藤原ヒロシ×皆川壮一郎×嶋浩一郎
「無駄と余白と奥行きと」 - 04/09 Wed 藤澤ゆき×石田真澄×野村由芽
「手を動かしながら生きていく」
『わたしを編む つくる力を、手のうちに YUKI FUJISAWA制作日記』刊行記念 - 04/10 Thu 藤津亮太×前島賢
「頼まれなくたって、語ってやる!」
『富野由悠季論』(筑摩書房)刊行記念 - 04/11 Fri 宮崎晃吉×川口瞬×内沼晋太郎
「これからの小さな出版と、本の届け方」
『最小文化複合施設』(HAGISO)出版記念 - 04/12 Sat きださおり× 明円卓 × 藤井颯太郎
「What shall we do here? この場所で何するナイト」 - 04/13 Sun 安達茉莉子×長島有里枝
「リアルライフでフェミニズムを生きるわたしたち」
『あなたのフェミはどこから?』(平凡社)刊行記念 - 04/15 Tue 西寺郷太×高橋芳朗「J-POP丸語り」『J-POP丸かじり』(ソウ・スウィート・パブリッシング)刊行記念
- 04/17 Thu ゲッツ板谷×新保信長×原カントくん
「自分のことってどう書けばいいのか? 」
『ともだち』(徳間書店)刊行記念 - 04/18 Fri 土佐有明×石川浩司×蔦木俊二
「イカ天とバンドを続けることとあの頃の話」
『イカ天とバンドブーム論』(DU BOOKS)刊行記念 - 04/20 Sun フィクショネス 文学の教室
『金閣寺』『美しい星』を
3ヶ月かけてじっくりと読む - 04/20 Sun 金川晋吾×柴崎友香×小田原のどか
「80年目、爆心地・長崎の写真と言葉」
『祈り/長崎』(書肆九十九)刊行記念 - 04/21 Mon 甲谷 一×佐藤浩二
「プロデザイナーが考える
“ロゴデザイン”のちょっと深い裏話」
『カンタンでちょっぴり深いロゴづくり』
(エムディエヌコーポレーション)刊行記念 - 04/23 Wed 鈴木涼美×紗倉まな×原カントくん
「動物になりきれない、愛しい人間たちの“欲望”」
『ノー・アニマルズ』(ホーム社)刊行記念 - 04/25 Fri とれたてクラブ×ゆっきゅん×潟見陽「こういう物語をずっと待ってた」『なかよしビッチ生活』(エトセトラブックス)刊行記念
- 04/26 Sat 少年アヤ×なま×野口理恵
「なにでもないわたしでいられますように」
『わたくしがYES』『USO 6』『生きる力が湧いてくる』トリプル刊行記念 - 04/30 Wed 古舘佑太郎×又吉直樹
「旅と文」
『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』(幻冬舎)刊行記念 - 05/18 Sun ひうらさとる×小川奈緒
「50代からの軽やかな”旅”と”伝え方”」
『58歳、旅の湯かげん いいかげん』
『伝え上手になりたい』(扶桑社)W刊行記念