映画『大いなる沈黙へ』は、構想から21年の歳月を費やして製作され、長らく日本公開が待たれていた異色のドキュメンタリー作品である。
舞台は、フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトルーズ修道院。カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるカルトジオ会の男子修道院として知られ、修道士たちは毎日を祈りに捧げ、一生を清貧のうちに生きるという。
自給自足、藁のベッドとストーブのある小さな房で毎日を過ごし、小さなブリキの箱が唯一の持ちものだ。会話は日曜の昼食後、散歩の時間にだけ許され、俗世間から完全に隔絶された孤独のなか、何世紀にもわたって変わらない決められた生活を送る。
ドイツ人監督、フィリップ・グレーニングはこれまで内部が明かされたことはなかった修道院の撮影を1984年に申し込み、16年後のある日に突然許可を得る。
彼は修道会との約束に従って、ただ一人カメラを携えて6カ月間を修道士とともに暮らし、礼拝の聖歌のほかに音楽をつけず、ナレーションもつけず、照明も使わず、あるがままを自然光だけで撮影し、これまで誰も体験したことない映画を作り上げた。
7月12日(土)の公開に先立ち、この独特な映画に魅せられた、映画と音楽に関する論考集も著している音楽批評家の小沼純一氏と、20代の頃に世界中の名建築を訪ね歩く“武者修行”をしていた建築家の光嶋裕介をお招きし、この映画の魅力から、映画における音、修道院という建築、監督のテーマである“時間”についてなど、特典映像も交えたトークショーを行います。
※ご参加のお客様には、シャルトルーズ修道院でつくられた秘伝のハーブリキュールを振る舞います!
映画『大いなる沈黙へ』
7月12日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
http://www.ooinaru-chinmoku.jp
小沼純一(こぬま・じゅんいち)
1959年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。音楽文化研究、音楽・文芸批評。「音楽文化」の視点から、音楽、映画、文学、舞台、美術など幅広い著述活動を展開し、音楽誌、文芸誌などに寄稿多数。1997年度、第8回出光音楽賞(学術研究部門)受賞。主な著書に『オーケストラ再入門 シンフォニーから雅楽、ガムラン、YMO まで』(平凡社新書)、『武満徹 音・ことば・イメージ』『ミニマル・ミュージック』『アライヴ・イン・ジャパン』(以上、青土社)、『映画に耳を: 聴覚からはじめる新しい映画の話』(DU BOOKS)。訳書にミシェル・シオン『映画の音楽』(みすず書房・共同監訳)、マルグリット・デュラス『廊下で座っているおとこ』(書肆山田)など。坂本龍一総合監修による音楽全集「schola(スコラ)」シリーズの選曲・執筆にも携わる。
光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)
1979年、米ニュージャージー州生まれ。建築家。少年時代をアメリカや日本で過ごし、中学はカナダ、イギリスに滞在。高校から再び日本に戻り、早稲田大学理工学部建築学科大学院卒業(石山修武研究室)。卒業とともにヨーロッパへ。ドイツの建築設計事務所で働き、2008年に帰国し事務所を開設。2011年、思想家・内田樹氏の要望に応え「宴会ができる武家屋敷」(合気道の道場兼自宅)として《凱風館》を神戸に完成させ、SDレビュー2011に入選。現在、首都大学東京都市環境学部助教のほか、桑沢デザイン研究所および大阪市立大学で非常勤講師める他、NHKWorld《J-Architect》の番組MCや、2014年7月からはじまる日本スペイン国交400周年記念《特別展 ガウディ×井上雄彦》の公式ナビゲーターに就任するなどその活動は、多岐に渡る。著書に『みんなの家。~建築家1年生の初仕事~』(アルテスパブリッシング)『幻想都市風景』(羽鳥書店)、『建築武者修行―放課後のベルリン』(イースト・プレス)、『死ぬまでに見たい世界の名建築なんでもベスト10 』(エクスナレッジ)がある。
【司会】
小林英治(こばやし・えいじ)
1974年生まれ。編集者・ライター。各種種媒体で映画・音楽・アート・文学関連の執筆、インタビューなどを行なう他、雑誌『DU』(ディスクユニオン)、書籍+DVD Open Reel Ensemble『回典 En-Cyclepedia』(学研)の企画・編集などを手がける。5月に来日したフィリップ・グレーニング監督にインタビューも行なった。
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2014/07/05 Sat -
小沼純一×光嶋裕介 「映画で修道院を体験する――音、建築、時間 」映画『大いなる沈黙へ』公開記念
- 10/30 Wed 阿部幸大×柴田元幸
「柴田ゼミから学術論文へ──読む、訳す、論じる」
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)『英日バイリンガル 現代ゴシック小説の書き方』(研究社)W刊行記念 - 10/31 Thu 【ぼる塾】酒寄希望×田辺智加
「『田辺の和室』出張トーク」
『酒寄さんのぼる塾晴天!』(発行:ヨシモトブックス/発売:ワニブックス)刊行記念 - 11/01 Fri 井手康喬×松永光弘
「伝え方の考え方」
『伝え方図鑑』(SBクリエイティブ)刊行記念 - 11/03 Sun 川上康則×鴻上尚史
「正解のない問いを考える時代をどう生きるか」
『教師の流儀』(エンパワメント研究所)刊行記念 - 11/06 Wed 街裏ぴんく
「平成の出来事を全て目撃してきた男」
『虚史平成』(CDジャーナル)刊行記念 - 11/07 Thu 大平一枝×原田ひ香
「愛する定食屋を“書く”という仕事」
『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社)
『あさ酒』(祥伝社)W刊行記念 - 11/08 Fri さいきまこ×石田月美
「性被害から子どもを守るには」
『言えないことをしたのは誰?』(現代書館) - 11/09 Sat 永冨真梨×大和田俊之×高田漣
「あなたの知らないカントリー音楽の世界」
『カントリー・ミュージックの地殻変動──多様な物語り』(河出書房新社)刊行記念 - 11/10 Sun 田房永子×西井開「わたしとぼくの凶暴性と粘着性」 『女40代はおそろしい 夫より稼いでたら、家に居場所がなくなりました』(幻冬舎)刊行記念
- 11/13 Wed キニマンス塚本ニキ×ラブリーサマーちゃん
「世界をちょっとよくする? <ニキ・サマ>トークセッション」
『世界をちょっとよくするために知っておきたい英語100』(学研)刊行記念 - 11/14 Thu AK壱乃×坂田ミギー
「大人になって、ますます楽しい!オタ活の楽しみを語る会」
『交換日記がおわっても』(KADOKAWA)刊行記念 - 11/15 Fri ジェーン・スー×桜林直子
『過去の握力 未来の浮力』出版記念
「となりの雑談」トークイベント - 11/16 Sat 永井玲衣×惠愛由×井上花月
「記憶と記録がもたらすケア」by Candlelight - 11/18 Mon 青木彬× 白石正明
「無くなった右足から考えたケアとアートのこと」
『幻肢痛日記』(河出書房新社)刊行記念 - 11/19 Tue 仙波希望×卯城竜太×松田修
「広島、都市とアート、もしくは平和とスラムを問う」
『ありふれた〈平和都市〉の解体——広島をめぐる空間論的探求』(以文社)刊行記念 - 11/20 Wed 鈴木成一×寄藤文平×名久井直子「“良い装丁”ってなんだろう?」『【全5回】本屋B&B 超実践 装丁の学校 第二期』開校記念
- 11/21 Thu 吉川公ニ×森真紀×住谷知厚
「伝える広報から伝わる広報へ 広報の心とは何か。」
『広報の心』(理工図書)刊行記念 - 11/22 Fri チョ・イェウン×三宅香帆
「新感覚ホラー小説を通じて見る、日韓の文学現在地」
『カクテル、ラブ、ゾンビ』(かんき出版)刊行記念 - 11/23 Sat 一穂ミチ×高瀬隼子
「これからの恋愛のかたち」
『恋とか愛とかやさしさなら』(小学館)
『新しい恋愛』(講談社)W刊行記念 - 11/24 Sun チョン・ジヘ×原田里美×内沼晋太郎
「好きなことを続けていく方法」
『私的な書店ーたったひとりのための本屋ー』(葉々社)刊行記念 - 11/25 Mon ソ・イジェ×原田いず×大田ステファニー歓人
「読むことと見ることの間で かつて映画を学んでいた日韓の小説家が語る、世界の切りとり方」
『0パーセントに向かって』(左右社)刊行記念 - 11/29 Fri 金原ひとみ×小川哲×スケザネ「文学は世界をひっくり返せるか」新文芸誌『GOAT』(小学館)刊行記念
- 12/02 Mon 吉本ばなな×又吉直樹×バイク川崎バイク×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」
第七回公開収録 - 12/05 Thu 和嶋慎治×志村つくね「僕の作詞作法——バンド生活三十五年によせて」『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』(百年舎)刊行記念
- 12/06 Fri
絵津鼓×大原扁理
「Wデビュー10周年記念 漫画家と作家が語る、お金と仕事とこれからのこと」
『IRUKA 3』(forbit)
『シン・ファイヤー』(百万年書房)W刊行記念 - 12/14 Sat きださおり×梨×松澤茂信×小野寺正人 「What shall we do here? この場所で何するナイト」
- 12/21 Sat 豊﨑由美×広瀬大志
×小島日和×向坂くじら×張文經
×のもとしゅうへい×故永しほる
×小笠原鳥類×平川綾真智
「現代詩フェスティバル 詩の未来へ」
『カッコよくなきゃ、ポエムじゃない!萌える現代詩入門』
(思潮社)刊行記念