
夏にアラスカを旅してきました。黒い群れとなったサーモンが源流をめざして川を遡上し、それを狩るクマに会ってきました。辺りの深い森を覆うのは、針葉樹のスプルースです。このひとつの風景の中にとても大切な理(ことわり)があります。私たちは、「あらゆる命が繋っている」という言葉を知ってはいるけれど、身体的な感覚として知っているでしょうか。サーモンやクマやスプルース、そして私たちを含めたすべての命には、あるプログラムが組み込まれています。
月の満ち欠けは命の生死を司り、水と土と木と火は大地を育み浄化し、命を育み死へと追いやります。わたしたちは自然との間に文明の力で境界線を引き、生存を確約された世界を作り上げようとしてきましたが、世界は相変わらず「なるがままの自然」そのものに他なりません。死とは、次の命に場所を開け放すこと。サーモンは深く遡上することで森全体に栄養を与え、クマは排泄することでその手助けをします。スプルースは巨木になると倒れて次の植物のために荒れた大地に土を施します。命の繋がりを知ることは、命が他者のためにあることを知ることです。
今回は、こうした野性のプログラムと命の繋がりについてお話ししたいと思います。あとひとつは、オランダの自然保護区から始まった物語で、昨年から通い続けている福島の立入制限区域内を含めた東北を撮影する時間の中から生まれた想いについてご紹介します。
すべての土地は、荒れ果てていようと、開発されていようと、人が手を放してそのまま「自然の企み」に任せたとき、本来のあるべき姿へむかっていこうとします。手を放すことは諦めることではありません。それは未来へ種を蒔く行為です。アメリカ先住民の精霊ココペリは、いろんな場所を旅して種を蒔き土地を実らせる豊穣の神。種は蒔くべきものであり、手放すことで私たちに希望をもたらしてくれるのです。
隔月満月の夕べにお話と音楽でお届けする会です。
この日は、福島の日本酒を振舞い酒でご用意しております。


【プロフィール】
赤阪友昭(あかさかともあき)
1963年大阪生まれ。写真家。雑誌『Switch』や『Coyote』などに写真・文章を寄稿。北米海岸の先住民族と過ごした時間を一冊にまとめた写真集『The Myth -神話の風景から-』がある。現在は、山に残された原初の信仰、縄文文化や祭祀儀礼を取材。また、福島県立博物館のプロジェクトに関わり、南相馬を拠点に被災地の撮影を続けている。
http://www.akasakatomoaki.net
小島ケイターニーラブ(こじまけいたにーらぶ)
1980年生まれ。ミュージシャン。2009年、バンド「ANIMA」としてデビュー。
文学性の高い歌詞を特徴とし、朗読や舞台とのコラボレーションも多数。
2011年より、朗読劇『銀河鉄道の夜』 (作家・古川日出男、詩人・管啓次郎、翻訳家・柴田元幸、小島ケイタニーラブ) としての活動を開始し、翌12年には朗読劇の主題歌「フォークダンス」を収録する弾き語り作品『小島敬太』(WEATHER/HEADZ)を発表。
2013年には、東京芸術劇場での〈リミニ・プロトコル〉日本公演のサウンドデザインをゴンドウトモヒコ(pupa)と共に担当するなど活動の幅を広げている。2014年からRainy Day Bookstore & Cafe にて初の定期イベント「ラブナイト」を開始する。
http://www.keitaney.com
「あ。わ。の月」プロジェクト
月をキーワードとして、森羅万象の世界へ足を踏み入れようというプロジェクトです。「あ」は「はじまり」、「わ」は「おわり」のこと。「月」を知ることは命の「はじまり」と「おわり」と「はじまり」を知ることです。
※イベントチケットの予約・購入に関するご案内はこちら。
2014/11/07 Fri -
赤阪友昭×小島ケイタニーラブ×管啓次郎「月のおやまとココペリ〜 月を巡る旅のお話 vol. 04〜」
- 12/26 Fri 上野千鶴子×山内マリコ×山本蓮
「地方女子たちの休日」
『地方女子たちの選択』(桂書房)刊行記念 - 12/27 Sat 永井玲衣×アリサ
「世界はまだまだかくれている」
『これがそうなのか』(集英社)刊行記念 - 12/27 Sat ひらりさ×穂村弘
「いまさらですが、大人入門 」
『まだまだ大人になれません』(大和書房)刊行記念 - 01/07 Wed 佐藤貴子×有賀薫
「胃袋目線の旅を語り尽くす! 」
『旅する火鍋 12か月のレシピと中国ローカル鍋紀行』(グラフィック社)刊行記念 - 01/08 Thu 佐久間裕美子×きくちゆみこ 「人生に特効薬はないけれど。」『今日もよく生きた』『人といることの、すさまじさとすばらしさ』W刊行記念
- 01/09 Fri ガクテンソク奥田×ナイチンゲールダンス中野なかるてぃん&ヤス×しずる純×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第19回公開収録 - 01/10 Sat キム・ユナ×DJ DJ 機器×廣岡孝弥
「K-POPはどこから来て、どこへ行くのか?──歴史と現状と未来を語る!」
『100曲でわかる! K-POPヒストリー 1992-2020』(アルテスパブリッシング)刊行記念 - 01/11 Sun 絵津鼓×相田冬二
「はじめてのインディペンデント出版」
『IRUKA1』(forbit)
『あなたがいたから 45の独立書店をめぐる旅』(Bleu et Rose)W刊行記念 - 01/12 Mon 田口善弘×生塩研一
「月曜から白熱! 物理学者×脳研究者対談:脳は物理学の夢を見るか? 」
『物理は存在しない』(朝日新聞出版)刊行記念 - 01/15 Thu 松尾潔×井上三太
「KCとSANTAのメロウな風まかせ」
『松尾潔のメロウな記憶』(リットーミュージック)刊行記念 - 01/20 Tue 江國香織×滝口悠生 × 豊﨑由美×山下澄人×佐々木敦
「ことばとvol.9」〈終刊号〉刊行記念
ことばと新人賞総決算イベント - 01/22 Thu 野川かさね×小林百合子
「山を歩き、街を生きるーその往来から見えるもの」
『山の時刻』(パイ インターナショナル)刊行記念 - 01/23 Fri 【12/6(土)→1/23(金)開催日変更】
紗久楽さわ×溝口彰子
「紗久楽さわと『百と卍』──来し方、そして行く末」
『おんなじものが、違ってみえる 江戸と漫画とボーイズラブと』(フィルムアート社)刊行記念 - 01/25 Sun 竹沢うるま×山本高樹
「境界と中心 旅の波間で揺れ動くもの」
『Boundary | 中心』(青幻舎)『流離人のノート』(金子書房)W刊行記念 - 01/26 Mon 森本奈理×三牧聖子×五野井郁夫
『ファシストは未来を支配するためにいかに過去を改竄するのか』(白水社)刊行記念 - 01/28 Wed NMB48安部若菜×ドンデコルテ渡辺×カラタチ前田×ラニーノーズ山田×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第20回公開収録 - 01/30 Fri 木村衣有子×早坂大輔×内沼晋太郎
「雑誌のなかにあったもの、雑誌のあとにそこにあるもの」
『生活は物語である 雑誌クウネルを振り返る』(BOOKNERD)3刷記念 - 01/31 Sat 平城さやか×大原扁理
「好きなことをして、自分らしくお金と付き合う」
『ふつうに働けないからさ、好きなことして生きています。』(百万年書房)刊行記念 - 02/02 Mon ブルボン小林×米光一成
「輝く! ぐっとくる題名大賞!?」
『グググのぐっとくる題名』(朝日出版社)刊行記念&ブルボン小林デビュー25周年記念 - 02/13 Fri 金原瑞人×越前敏弥×岸本佐知子
「翻訳家も悩む! 英米文学のもっとわからない言葉」
『英米文学のわからない言葉』(左右社)刊行記念 - 02/19 Thu 福尾匠×加藤喜之「宗教〈的なもの〉のゆくえ」『置き配的』(講談社)刊行記念