昨年秋にリニューアルオープンした東京都庭園美術館。
1933年に、朝香宮邸として建てられてから80余年。
家族の家から公邸、迎賓館などを経て、現在は美術館として一般公開されています。
建設された当時は、いったいどんな空気が流れていたのでしょう。
河出書房新社から発売中の『庭園美術館へようこそ〜旧朝香宮邸を巡る6つの物語』は、音楽家、小説家、アーティスト、お菓子研究家、漫画家の6名が参加し、それぞれの視点で「庭園美術館」を考察した一冊。「朝香宮の住居として使われていたこと」「近代デザインの歴史が刻まれていること」「豊かな自然があること」等をキーワードに、多岐にわたる分野の方が、それぞれの目を通して見た、感じた、想像した庭園美術館について物語を紡いでいきます。
本書の中で福田里香さんは、「母と娘のたてもの と たべもの」と題し、旧朝香宮邸のデザインには、妻の允子内親王の“かわいい”という視点が随所にあるということや、後の“少女主人”となる朝香宮様の次女・湛子女王の目線から見た邸宅について語っています。また、朝香宮家の食事風景にも触れ、さまざまな角度から立体的に当時の朝香宮邸の様子を描いています。
小林エリカさんは、「はじまり」というタイトルで、記憶は朝香宮邸が建った1933年まで遡ります。家を建てるために使用された材料が、どういう経路を通って東京・港区白金の現在の場所までやってきたのか。それを辿ることで、ひとつの大きな邸宅の「はじまり」を探っていきます。
本トークでは、著者の福田里香さん、小林エリカさんが登壇し、本書の編集を担当した上條桂子さんが聞き手となり、本作りの裏側やお二人の着眼点、朝香宮の当時の生活などについてお話をうかがいます。
【出演者プロフィール】
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。福岡県出身。武蔵野美術大学卒。レシピ本は『フードを包む』(柴田書店)、『フレーバーウォーター』『自分でつくるグラノーラ』(文化出版局)など多数。まんがのイメージをお菓子にしたレシピ&コラムに『まんがキッチン』(アスペクト/文春文庫)、『まんがキッチン おかわり』(太田出版)、対談集『大島弓子にあこがれて~お茶を飲んで、散歩をして、修羅場をこえて、猫とくらす』(共著/ブックマン)がある。
小林エリカ(こばやし・えりか)
1978年東京生まれ。作家・マンガ家。2014年「マダム・キュリーと朝食を」(集英社)で第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補。著書は”放射能”の歴史を辿るコミック『光の子ども1」(リトルモア)、作品集に『忘れられないの』(青土社)。ノンフィクションに『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)など。クリエイティブ・ガールズ・ユニット〈kvina〉としても活動。
上條桂子(かみじょう・けいこ)
編集者。雑誌でカルチャー、デザインについて編集執筆、書籍の編集も多く手がける。最近手がけた書籍に本書の他『チオベン〜見たことのない味、チオベンのお弁当』(山本千織著/マガジンハウス)、『ROVAのフランスカルチャーA to Z』(小柳帝著/アスペクト)等がある。
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