写真が紙から画像になったことで加工が容易になり、誰もが心霊写真やUFOが写っている写真を作ることができるようになりました。いま私たちが心霊写真を見たらまず「ウソ」だと思うかもしれません。しかし同時に、本当に写り込んだ「何か」かもしれない、と一瞬よぎってしまう人もいると思います。
写真は「事実を記録するもの」だという性格があるからこそ、写ったものの真偽が問われてきました。場合によっては、戦場写真の捏造の可否、のように、その真偽が社会的に重要な意味をもつ場合もありますが、他方で上記のような写真文化の周縁にあるようなものは、写ったものを現実だとはなかなか考えません。しかし、であるからこそ、写真と現実の境界線をあぶり出す格好の素材になっているとも言えるでしょう。
「見えないから写す」X線、「写して見せる」幽霊、「見えなくても写る」妖精、「写らないものを見る」ダウジング、「写っても見ない」念写という、オカルト的なものとも見なされてしまいがちな「ボーダーランド=国境地帯」にある写真を取り上げた本書を素材にして、写真に写るものと私たちが見ようとしているものの狭間にある「何か」について考えるトークセッションです。
当日はスライドで心霊写真や妖精写真を映しながら議論しますので、ご興味がある方はぜひいらしてください。
※当日、本書を購入してくださった方には「パラノーマル写真ポストカード3枚 セット」をプレゼントいたします。本イベントだけの特別特典ですので、お楽しみに!
【プロフィール】
・佐藤守弘(さとう・もりひろ)
京都精華大学デザイン学部教授。専攻は芸術学、写真史、視覚文化論。著書に『トポグラフィの日本近代』、共訳書にジェフリー・バッチェン『写真のアルケオロジー』(ともに青弓社)、共著に『記憶の遠近術』(芸術新聞社)など
twitter:@bmonkey1966
・橋本一径(はしもと・かずみち)
早稲田大学文学学術院准教授。専攻は表象文化論。著書に『指紋論』(青土社)、論文に「医学のエコーグラフィー」(「看護管理」連載)、訳書にジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお』(平凡社)など
twitter:@KazumichiH
・浜野志保(はまの・しほ)
千葉工業大学工学部准教授。専攻は近代視覚文化史(特に19世紀から20世紀にかけてのパラノーマル文化〔念写、心霊写真、降霊会、ダウジングなど〕について)。著書に『写真のボーダーランド』、共著に『天空のミステリー』(ともに青弓社)、訳書にタイラー・コーエン『創造的破壊』(作品社)など
twitter:@hamanoshiho
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