トマス・ピンチョン論を中心に、現代文学全般、文化論へと批評のフィールドを広げるアメリカ文学者、波戸岡景太さんの新刊『ロケットの正午を待っている』(港の人)は、本文は金属活字印刷、収録された写真も活版印刷により、つくられています。
ピンチョンという永遠の前衛をモチーフにし、現代におけるヒトラーをシンボライズするものとしての 「ロケット」をタイトルにした文学評論が、エッセイのようなしなやかな文体で書かれ、活版印刷という技法を使った書物に収められた。このことには、波戸岡さんのどんな意図がこめられているのでしょうか。
一方、新井卓さんは、ダゲレオタイプという最古の技法を使って作品を撮りつづけている写真家です。
第五福竜丸やフクシマなど核の問題に深い関心を寄せつづけ、これを主題とした写真集『MONUMENTS』により、2016年木村伊兵衛賞を受賞されました。
おふたりのお仕事からは共通して、芸術とテクノロジー、そして「時間」への問題意識が伝わってきます。かねてから親交のあったおふたりですが、今回改めて、それぞれの取り組みについて語り合っていただきます。
私たちが生きる「いま」について、まったく新しい角度から光が当てられるような時間になることでしょう。
波戸岡景太(はとおか・けいた)
1977年生まれ。明治大学准教授。アメリカ文学専攻、博士(文学)。ポストモダン小説からライトノベルまで、幅広く文芸の可能性を探る。2012-13年度の在外研究では、ミュンヘンを拠点に、ドイツ内外の強制収容所跡地をめぐった。主な著書に『ピンチョンの動物園』(水声社、2011)、『ラノベのなかの現代日本』(講談社現代新書、2013)、『オープンスペース・アメリカ』(左右社、2009)がある。
新井卓(あらい・たかし)
1978年生まれ、神奈川県川崎市、岩手県遠野市を拠点に活動する。 これまで、ボストン美術館、森美術館、東京国立近代美術館ほか国内外の多くの展覧会に参加。2014年に英国ソースコード・プライズ、2016年には第41回木村伊兵衛写真賞を受賞した。作品はボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、東京都写真美術館、ギメ美術館ほかに収蔵されている。単著に『MONUMENTS』(PGI、2015)がある。
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2016/06/18 Sat -
波戸岡景太×新井卓
「アートとテクノロジー
:活版印刷、ダゲレオタイプ、ときどきロケット」
『ロケットの正午を待っている』
(港の人)刊行記念
- 04/03 Thu 木村祥一郎×藤原隆充
「遠まわりをした老舗家業の働き方」
『ちいさな会社のおおらかな経営』(主婦の友社)刊行記念 - 04/04 Fri 北村浩子×マライ・メントライン
「“日本語は難しい”と日本人は言うけれど? 」
『日本語教師、外国人に日本語を学ぶ』(小学館)刊行記念 - 04/05 Sat 清田隆之×大島育宙「正しさの一歩外で考える、「俺たち」と「恋愛」の現在地」『戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ』(太田出版)刊行記念
- 04/06 Sun 栗田隆子×武田砂鉄「「働けない人」と「働けた人」で考える──わたしたちの社会と労働のいびつな関係」『「働けない」をとことん考えてみた。』(平凡社)刊行記念
- 04/07 Mon 藤原ヒロシ×皆川壮一郎×嶋浩一郎
「無駄と余白と奥行きと」 - 04/09 Wed 藤澤ゆき×石田真澄×野村由芽
「手を動かしながら生きていく」
『わたしを編む つくる力を、手のうちに YUKI FUJISAWA制作日記』刊行記念 - 04/10 Thu 藤津亮太×前島賢
「頼まれなくたって、語ってやる!」
『富野由悠季論』(筑摩書房)刊行記念 - 04/11 Fri 宮崎晃吉×川口瞬×内沼晋太郎
「これからの小さな出版と、本の届け方」
『最小文化複合施設』(HAGISO)出版記念 - 04/12 Sat きださおり× 明円卓 × 藤井颯太郎
「What shall we do here? この場所で何するナイト」 - 04/13 Sun 安達茉莉子×長島有里枝
「リアルライフでフェミニズムを生きるわたしたち」
『あなたのフェミはどこから?』(平凡社)刊行記念 - 04/15 Tue 西寺郷太×高橋芳朗「J-POP丸語り」『J-POP丸かじり』(ソウ・スウィート・パブリッシング)刊行記念
- 04/17 Thu ゲッツ板谷×新保信長×原カントくん
「自分のことってどう書けばいいのか? 」
『ともだち』(徳間書店)刊行記念 - 04/18 Fri 土佐有明×石川浩司×蔦木俊二
「イカ天とバンドを続けることとあの頃の話」
『イカ天とバンドブーム論』(DU BOOKS)刊行記念 - 04/20 Sun フィクショネス 文学の教室
『金閣寺』『美しい星』を
3ヶ月かけてじっくりと読む - 04/20 Sun 金川晋吾×柴崎友香×小田原のどか
「80年目、爆心地・長崎の写真と言葉」
『祈り/長崎』(書肆九十九)刊行記念 - 04/21 Mon 甲谷 一×佐藤浩二
「プロデザイナーが考える
“ロゴデザイン”のちょっと深い裏話」
『カンタンでちょっぴり深いロゴづくり』
(エムディエヌコーポレーション)刊行記念 - 04/23 Wed 鈴木涼美×紗倉まな×原カントくん
「動物になりきれない、愛しい人間たちの“欲望”」
『ノー・アニマルズ』(ホーム社)刊行記念 - 04/25 Fri とれたてクラブ×ゆっきゅん×潟見陽「こういう物語をずっと待ってた」『なかよしビッチ生活』(エトセトラブックス)刊行記念
- 04/26 Sat 少年アヤ×なま×野口理恵
「なにでもないわたしでいられますように」
『わたくしがYES』『USO 6』『生きる力が湧いてくる』トリプル刊行記念 - 04/30 Wed 古舘佑太郎×又吉直樹
「旅と文」
『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』(幻冬舎)刊行記念 - 05/18 Sun ひうらさとる×小川奈緒
「50代からの軽やかな”旅”と”伝え方”」
『58歳、旅の湯かげん いいかげん』
『伝え上手になりたい』(扶桑社)W刊行記念