現代では、情報技術が大きく進歩し、少し前には考えられなかった便利さを手に入れました。それにもかかわらず、現代のテクノロジーによって人々が20年前より心理的な意味で健全に、もしくは幸福になったという実証はありません。富が国家の豊かさの指標にならないように、テクノロジーの普及が人々の豊かさの向上を意味するわけではありません。
1月に、ビー・エヌ・エヌ新社から発売されたラファエル・A・カルヴォ&ドリアン・ピーターズの著書『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』では、ウェルビーイング(人が心理的に健全な状態で幸福を感じている状態)と、人間の潜在能力を高めるためのテクノロジーの設計および開発の在り方について、あらゆる分野の研究結果をベースとしながら解説しています。
同書は、利便性や効率性のみを追求してきたコンピューティングの分野に対し、人の心を対象とした設計(すなわちポジティブ・コンピューティング)の可能性について、科学的知見と哲学的洞察に基づきながら切り拓いていく一冊となっています。
・数値化できない心を、情報技術はどのように扱えばよいのか
・人がよりよく生きるとはどういうことか
今まで情報技術の世界で扱われることのなかった問いに対して、本書は多くの示唆を与えるでしょう。
今回、本書の刊行を記念してイベントを開催いたします。
出演するのは、本書の監訳者であり、日本的なウェルビーイングの実現に向けたプロジェクトにも携わる渡邊淳司さんとドミニク・チェンさん。さらに、2012年からTakramにて活動をされている緒方嘉人さんをゲストにお迎えし、「ウェルビーイングとはなにか」「人の幸せを支えるポジティブ・コンピューティングとはどういうものか」についてお話していただきます。
ウェルビーイングを向上するテクノロジーの実装のアイデアを語り合いながら、これからの情報技術の在り方について考えていきます。
【出演者プロフィール】
渡邊淳司(わたなべ・じゅんじ)
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部 主任研究員。2005年 東京大学大学院 情報理工学系研究科 博士課程修了。博士(情報理工学)。人間の触覚の知覚メカニズム、感覚を表現する言葉の研究を行う。人間の知覚特性を利用したインタフェース技術を開発、展示公開するなかで、人間の感覚と環境との関係性を理論と応用の両面から研究している。近年は、学会活動だけでなく、出版活動や、科学館・美術館において数多くの展示を行う。主著に『いきるためのメディア』(編著、2010年(春秋社))、『情報を生み出す触覚の知性』(2014年(化学同人)、毎日出版文化賞(自然科学部門)受賞)等。文化庁メディア芸術祭 アート部門 優秀賞受賞(2009年)、アルス・エレクトロニカ・プリクス 入選(2004、2011年)、同審査員(2012年)。
http://www.junji.org/
ドミニク・チェン
株式会社ディヴィデュアル共同創業者、NPOコモンスフィア理事。博士(学際情報学)。IPA未踏IT人材育成プログラム・スーパークリエイター認定。「People will always need people」をモットーに多数のソフトウェア開発を行う。プライベートフォトメッセンジャー『Picsee』(Apple AppStore Best of 2015受賞)、編愛コミュニティ『シンクル』( Apple AppStore Best of 2016受賞)など。NHK NEWSWEB第四期ネットナビゲーター(2015年4月~2016年3月)、2016年度グッドデザイン賞・審査員「技術と情報」フォーカスイシューディレクターを務める。著書に『電脳のレリギオ』(NTT出版)、『インターネットを生命化する』(青 土社)、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』(フィルムアート社)等。訳書に『シンギュラリティ』、『みんなのビッグデータ』(共にNTT出版)。
緒方壽人(おがた・ひさと)
Takram。東京大学工学部産業機械工学科卒業。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)、LEADING EDGE DESIGNを経て、2010年にON THE FLY Inc.を設立。2012年よりTakramに参加。ハードウェア、ソフトウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスなど、領域横断的な活動を行う。主な受賞に、2004年グッドデザイン賞、2005年ドイツiFデザイン賞、2012年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品、2015年グッドデザイン賞特別賞など。
http://www.takram.com/
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2017/03/09 Thu -
渡邊淳司×ドミニク・チェン×緒方壽人
「ウェルビーイングの未来はどうつくるのか」
『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』(ビー・エヌ・エヌ新社)刊行記念
- 06/02 Mon 秋吉健太×中村貞裕
「“編集力とミーハー力” 。“好き”を仕事にする技術——編集者と経営者、それぞれの視点から」
『原点回帰 山田孝之、新しいコミュニティをつくる』(blueprint)刊行記念 - 06/03 Tue 穂村弘×脇田あすか×木村亮×筒井菜央
「『コトアム』と短歌アンソロジーから広がる”編む”を”読む”楽しさ」
ことばの投稿・閲覧SNSアプリ『コトアム』リリース記念 - 06/04 Wed 矢野利裕×町屋良平
「小説の死後に文学を再設定する」
『「国語」と出会いなおす』(フィルムアート社)刊行記念 - 06/05 Thu 麻布競馬場×鳥トマト
「覆面or顔出し? 専業or兼業? 令和を生きる作家たち」
「『東京最低最悪最高!2』(小学館)刊行記念 - 06/07 Sat 中村佑子×石田月美
「わたしが、わたしのからだを孤独にしないために」連動企画
『なぜこの世界で子どもを持つのか 希望の行方』(集英社)連載スタート記念対談 - 06/08 Sun 藤見よいこ×小宮りさ麻吏奈「間(あわい)に立つひと」『半分姉弟』『線場のひと』(リイド社)W刊行記念
- 06/11 Wed 勅使川原真衣×鳥羽和久
「学びは誰のもの? 」
『「これくらいできないと困るのはきみだよ」?』(東洋館出版社)『「学び」がわからなくなったときに読む本』(あさま社)W刊行記念 - 06/12 Thu 友清哲×日比谷尚武×西谷雷佐
「ビールとともに考える、まちづくり/ローカルの最前線」
『クラフトビールのお店、はじめました。』(亜紀書房)刊行記念 - 06/13 Fri 横道誠×菊池真理子×二村ヒトシ×松本俊彦
「みんなおいでよ、依存症の豊かな世界」 - 06/14 Sat 鴻上尚史×一色洋平×おーちようこ
「演劇のつくり方 〈もっと〉 教えます」
『舞台が幕を開けるまで』(大修館書店)刊行記念 - 06/18 Wed 小笠原鳥類×広瀬大志×黒崎晴臣
「おお、限りなく現代の詩人たち」
『おお、限りなく懐かしい動物たち』(ライトバース出版)刊行記念 - 06/20 Fri 古渡大×佐竹雄太
「それ、建築あるあるです。」
『マンガ建築士あるある』(学芸出版社)刊行記念 - 06/21 Sat 角田光代×かつしかけいた
「韓国ドラマ沼を本にしてみたら」
『韓国ドラマ沼にハマってみたら』(筑摩書房)刊行記念 - 06/22 Sun 千早茜×田辺智加(ぼる塾)
「偏屈食貴族×芸能界スイーツ女王の食談議」
『なみまの わるい食べもの』(ホーム社)刊行記念 - 06/23 Mon マライ・メントライン×神島大輔
「日本脳なドイツ人 vs ドイツ脳な日本人、ノールール120分一本勝負!」
『日本語再定義』(小学館)刊行記念 - 06/25 Wed 黒川文雄×西村亨
「黒川塾 × Beep21編集長 Presents:PLAYBACK1985-1990」
『セガ 体感ゲームの時代 1985-1990 』(東京ニュース通信社)刊行記念 - 06/26 Thu 吉本ばなな×又吉直樹×バイク川崎バイク×しずる純×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
放送1周年記念 - 06/27 Fri 太田尚樹×上坂あゆ美×矢島緑
「<下書き保存>のままな話」
『グレーとライフ』(イースト・プレス)刊行記念 - 07/02 Wed 豊﨑由美×木下眞穂
第93回「読んでいいとも! ガイブンの輪」 - 07/14 Mon 【全6回】連続講座 鈴木涼美「夜の読書室」Vol.3