ジョン・アーヴィングの最新長編『神秘大通り(上・下)』(新潮社)の刊行を記念して、アーヴィングの愛読者でもある小説家の角田光代さんと、本書の翻訳を手がけられた小竹由美子さんを迎えてトークイベントを開催します。
現代アメリカ文学を代表する作家であるジョン・アーヴィング。世界的なベストセラーとなった『ガープの世界』や、自ら脚本も手がけた『サイダーハウス・ルール』など、ジョン・アーヴィングの小説はいくつも映画化されていますが、逆に、映画の企画や脚本から物語を膨らませて小説が生まれることもあるといいます。70代になってから発表された最新長編『神秘大通り』もその一つで、25年ほど前に「インドのサーカスの子供芸人の映画をつくろうと思った」のがそもそもの始まりとのこと。
彼の小説には特異なキャラクターをもった人物たちがしばしば登場しますが、『神秘大通り』では、メキシコのオアハカ市のゴミ捨て場で働きながら独学で文字を読めるようになった、障碍を持つ14歳の少年フワン・ディエゴが主人公。のちに作家となった彼は、名前もわからないアメリカ人青年と交わした約束を果たすべく、運命の旅に出ることになります。娼婦にして教会の掃除婦だった母。サーカスのライオンに殺された妹。宣教師とトランスヴェスタイト(異性装者)の愛情深い養父母……。さまざまな人物が登場する「現在」と「過去」のふたつの旅の物語が交互に絡みあい、照らしあい、最後に集束する壮大なドラマを読むうちに、読者はいつしか人生という長い障害物コースをそろそろと進む自身の姿を作品の中に見出すことでしょう。
19世紀の小説家チャールズ・ディケンズの継承者ともいわれるジョン・アーヴィング。本イベントでは、さまざまな社会的なテーマを織り込みながら、読み物として抜群に面白く、人間の生の尊さを伝えて大きな感動を呼び起こす彼の小説の魅力を、角田さんと小竹さんに存分に語り合っていただきます。
【出演者プロフィール】
角田光代(かくた・みつよ)
1967年神奈川県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。2005年『対岸の彼女』(文春文庫)で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』(中公文庫)で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』(文春文庫)で伊藤整文学賞、2012年『紙の月』(ハルキ文庫)で柴田錬三郎賞、『かなたの子』(文春文庫)で泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』(新潮文庫)で河合隼雄物語賞を受賞。その他の著書に『キッドナップ・ツアー』(新潮文庫)『空の拳』(文春文庫)『平凡』(新潮社)『坂の途中の家』(朝日新聞出版)『拳の先』(文藝春秋)など多数。
小竹由美子(こたけ・ゆみこ)
1954年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。訳書にジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』『ひとりの体で』(ともに新潮社)、アリス・マンロー『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』『ディア・ライフ』『善き女の愛』、アレクサンダー・マクラウド『煉瓦を運ぶ』(すべて新潮クレスト・ブックス)ほか多数。共訳にジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』(同)
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2017/09/06 Wed -
角田光代×小竹由美子
「これぞ物語の醍醐味! 小説と人生が遭遇するとき」
『神秘大通り』(新潮社)刊行記念
- 06/27 Mon 鳥羽和久「『推し』の文化論ライブ」
- 06/29 Wed 佐々木ののか×青山ゆみこ
「推しと雑談ー私をケアしてくれる本、だけどケアってなんだろう?」
『自分を愛するということ(あるいは幸福について)』(亜紀書房)刊行記念 - 06/29 Wed オスカール・ナカザト×武田千香×福嶋伸洋
「異郷へのサウダージ!?ブラジル文学への招待」
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「フィンランドらしい暮らしの楽しみ方」
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CŌEM「GeoPossession 声のトポス」スペシャルトークイベント(「現代詩手帖」連動企画) - 07/10 Sun 邵丹×柴田元幸
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『翻訳を産む文学、文学を産む翻訳:藤本和子、村上春樹、SF小説家と複数の訳者たち』
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「言葉の世界をひらく」
『物語のカギ「読む」が10倍楽しくなる38のヒント』
(笠間書院)刊行記念