ふたたび純血主義が排外主義と手を組んで、世界にさまざまな分断を呼び込もうとしています。
フェンスが生まれ、壁が建てられますが、それらは他者の排除のための壁なのか、自分自身を監禁してしまう壁なのか、もうよく分かりません。
心理的な境界線を強固に引けば引くほど、それは自分を守るどころか逆に孤立させ、閉じこもったままわめきたてる青白い顔の仲間を増やすだけです。
人類は、だれもがみなはじめから混血児として誕生したのではないか──〈世界〉の瞳には混血を示す翡翠色の光彩がくっきりと映っています。
文明社会は、人類のこの真の出自を忘れ去り、混ざり合うこと、すなわち「雑種」への怖れと嫌悪を近代の歴史として生きてきてしまったのです。
今福龍太さんによる、35年のメキシコ/チカーノ体験から生まれた渾身の著作『ハーフ・ブリード』の刊行に合わせて、純血の神話を打ち破り、混血の民、雑種の魂が示す真実への果敢なタイヴを試みつづけてきた宮内勝典さんと今福龍太さんの二人がふたたび熱く語り合います。
【出演者プロフィール】
今福龍太(いまふく・りゅうた)
1955年生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学大学院教授。群島という地勢に遊動的な学びの場の創造を求めて2002年より巡礼型の野外学舎〈奄美自由大学〉を主宰。おもな著書に『ブラジルのホモ・ルーデンス』(月曜社)、『ミニマ・グラシア』『薄墨色の文法』『ジェロニモたちの方舟』(以上、岩波書店)、『レヴィ=ストロース 夜と音楽』(みすず書房)、『書物変身譚』(新潮社)、『わたしたちは難破者である』『わたしたちは砂粒に還る』(以上、河出書房新社)などがある。2017年『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(みすず書房)により読売文学賞受賞。また、主著『クレオール主義』『群島-世界論』などに新作を加えた著作コレクション〈パルティータ〉五巻本が水声社より現在刊行中。
宮内勝典(みやうち・かつすけ)
1944年ハルピン生まれ。1960年代末から4年間、アメリカ大陸、ヨーロッパ、シルクロード、インドなどを放浪。1980年代から1990年代にかけて、9年間ニューヨークで暮らし、世界60カ国以上を歩く。1979年に『南風』(河出書房新社)で文藝賞を受賞してデビュー。1981年『金色の象』(河出書房新社)で野間文芸新人賞を受賞。2005年『焼身』(集英社)で読売文学賞と、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他の小説に、『ぼくは始祖鳥になりたい』(集英社)、『金色の虎』(講談社)、そして三部作の完結篇としてこれら二作に続く最新刊『永遠の道は曲りくねる』(河出書房新社)がある。
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2017/10/21 Sat -
今福龍太× 宮内勝典
「〈世界〉の瞳に翡翠色の光彩を ──〈ハーフ・ブリード〉と混血児たちの未来」
『ハーフ・ブリード』(河出書房新社)刊行記念
- 07/02 Wed 豊﨑由美×木下眞穂
第93回「読んでいいとも! ガイブンの輪」 - 07/04 Fri 富川岳×ドミニク・チェン×桜井祐
「懐かしい異界へ。人ならざるものと共に生きる」
『シシになる。──遠野異界探訪記』(亜紀書房)刊行記念 - 07/05 Sat 岡本敬子×岡本仁
「ふたりへの質問エクストラ 」
『私のふたり暮らし』(光文社) - 07/05 Sat 武田砂鉄×石村博子×舛友雄大
「ノンフィクションの現在地」
Presented by 講談社本田靖春ノンフィクション賞 - 07/06 Sun あきやあさみ×竹村優子
「服と仕事と私~制服化スタイリストと編集者の場合」 - 07/10 Thu 星田英利×フルーツポンチ村上健志×日下怜奈×トット桑原雅人×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第13回公開収録 - 07/11 Fri 星野文月×竹中万季×野村由芽
「それぞれの日記のなかにある、人との距離や関係性」
『不確かな日々』(ひとりごと出版)
刊行記念 - 07/12 Sat 西尾康之×斎藤環
「『不死』の時代とは?:アーティストと精神科医が語り尽くす」
『不死』(くま書店)刊行記念 - 07/13 Sun 柴田元幸×惠愛由
「あなたをみている」
『体の贈り物』(twilillight) 復刊記念 - 07/13 Sun 服部円×長崎訓子
「身近なネコをよく知り、
イラストにするワークショップ」
『ネコは(ほぼ)液体である』
(KADOKAWA)刊行記念 - 07/14 Mon 【全6回】連続講座 鈴木涼美「夜の読書室」Vol.3
- 07/15 Tue 松尾潔×丸屋九兵衛
「90年代R&Bとは何だったのか? 」
『松尾潔のメロウなライナーノーツ』(リットーミュージック)刊行記念 - 07/16 Wed 三宅陽一郎×清木 昌
「ゲームデザイン、人工知能、数学――レトロゲームから未来まで」
『数学がゲームを動かす!』
(日本評論社)刊行記念 - 07/18 Fri 阿部恭子×インベカヲリ★
「家族という密室で何が起きているのか」
『近親性交―語られざる家族の闇』(小学館)刊行&重版記念 - 07/22 Tue 周司あきら×杉田俊介
「語られにくいミサンドリー(男性嫌悪)から『男』の話をしよう」
『ラディカル・マスキュリズム』(大月書店)
『男性学入門』(光文社)W刊行記念 - 07/23 Wed 椎名基樹×せきしろ
「バカサイトークライブ」 - 07/24 Thu 米澤渉×ひろのぶと株式会社
「踊る阿呆たちの本づくり」
『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)
刊行記念 - 07/26 Sat 水上文×清水晶子
「ここにも、そこにも、どこにでも:日本語圏と英語圏のクィアポリティクスを辿って」
『クィアのカナダ旅行記』(柏書房)刊行記念 - 07/27 Sun 太田充胤×山本ジャスティン伊等×山本浩貴
「こんなにも踊りたい、私たちの魂について」
『踊るのは新しい体』(フィルムアート社)刊行記念 - 07/28 Mon 金原ひとみ×朝吹真理子×山中瑶子
「韓国と出会って考えたこと」
新文芸誌『GOAT meets』(小学館)刊行記念 - 07/29 Tue 枝優花×平井珠生
「ラジオでしゃべるって、こんなにむずかしくて、たのしい。」 - 07/30 Wed 梶原阿貴×高橋伴明
「家族とジェンダーと革命」
『爆弾犯の娘』(ブックマン社)
刊行記念 - 08/04 Mon 古賀及子×菊地朱雅子×北野太一×油利可奈
「生活を(書き)続けるために」
『巣鴨のお寿司屋で、帰れと言われたことがある』(幻冬舎)
『おかわりは急に嫌 私と『富士日記』』(素粒社)
『よくわからないまま輝き続ける世界と 気がつくための日記集』(大和書房)刊行記念 - 08/13 Wed 小島雄一郎×吉田将英
「拗らせたおじさん二人が考える『選べない』時代の生き方」
『「選べない」はなぜ起こる?』(サンマーク出版)刊行記念 - 08/31 Sun 小川公代×中村隆之
「この世界を生きるための物語と音楽」
『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』
『ブラック・カルチャー』(岩波書店)刊行記念