9月21日、岩波科学ライブラリーから金重明さんの『ガロアの論文を読んでみた』が発売されます。
数学史にその名が燦然と輝くエヴァリスト・ガロア。共和主義者としてフランス革命にも参加し、そして決闘に斃れたわずか20年の生涯は、いまなお私たちの胸をうつものがあります。
決闘の前夜、ガロアは「僕にはもう時間がない」と述べつつ、同時代の数学者にはまったく理解されなかった論文を徹夜で見直すとともに、いずれ新たな論文としてまとめる予定だった構想中の数学理論の概要を遺書としてしたためました。
金重明さんは、本書によって、一般には難解とされるガロアの論文をたんねんに解きほぐし、ガロアが目指した数学とはいったい何だったのかを解明しようとチャレンジします。
ガロアがこの論文の最初のバージョンを完成させたのは17歳のとき。この論文は確かに洗練されたものではありませんでした。記述は極めて簡潔で証明も省略が多く、議論を追っていくだけでかなり苦労しながらも金重明さんは、この「少年」が当時の数学をはるかに超越し、時代を先取りしていたことを見出します。
数学の専門家である足立恒雄さんは、アミーア・アレクサンダー著『無限小—世界を変えた数学の危険思想』を翻訳し、その中で、微積分学の基礎となるアイデア「無限小」が、「地動説」以上に教会や絶対王政の支配層による弾圧を受けながらも、それに抗した数学者たちの闘いによって、後の科学的進歩や政治的改革につながったとする数学史の一断面を紹介しました。
数学と革命、一見、縁のなさそうなお題ですが、「数学の本質はその自由性にある」と述べた数学者もいるくらいで、どちらにとっても、意味のない「権威」と闘うところが共通点でもあると言えます。今回の企画では、その自由な数学の魅力、ガロアが目指したもの、諸説あるガロアの死の真相など、お二人に闊達に語っていただきます。
ぜひご参加ください!
【出演者プロフィール】
金 重明(きむ・ちゅんみょん)
1956年生まれ。歴史小説家。その一方、独学で数学に親しみ、数学に関する入門書も執筆する。歴史小説としては『算学武芸帳』(1997年、朝日新聞社、のち文庫、朝日新人文学賞受賞)、『抗蒙の丘—三別抄耽羅戦記』(2006年、新人物往来社、歴史文学賞受賞)など多数。数学書としては『13歳の娘に語る ガロアの数学』(2011年、岩波書店、日本数学会出版賞受賞)、『13歳の娘に語る アルキメデスの無限小』(2013年、岩波書店)、『方程式のガロア群』(2018年、講談社ブルーバックス)など。この他『物語 朝鮮王朝の滅亡』(2013年、岩波新書)も執筆した。
足立 恒雄(あだち・のりお)
早稲田大学名誉教授。専門は代数的数論、数学思想史。1941年生まれ。早稲田大学理工学部数学科卒業、東京工業大学大学院理学研究科博士課程修了。早稲田大学理工学部教授、学部長、学術院長などをつとめる。
著書は『数学から社会へ+社会から数学へ—・数学者の目で世相を観る』(2013年、東京図書)、『フレーゲ・デデキント・ペアノを読む—・現代における自然数論の成立』(2013年、日本評論社)、『新版 楽しむ数学10話』(2012年、岩波ジュニア新書)、『数の発明』(2013年、岩波科学ライブラリー)など多数。訳書に『無限小—世界を変えた数学の危険思想』(アミーア・アレクサンダー著、2015年、岩波書店)などがある。
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2018/09/29 Sat -
金重明×足立恒雄
「数学は革命の夢を見るか」
『ガロアの論文を読んでみた』(岩波書店)刊行記念
- 09/28 Thu やついいちろう×トミヤマユキコ
「宮沢章夫を思う脱力の夜」
『きょうはそういう感じじゃない』(河出書房新社)刊行記念 - 09/29 Fri 池田稔×黒川文雄
「ゲーセン、ビデオゲームの灯をともせ」
『ゲーセン戦記』(中央公論新社)
『ビデオゲームの語り部たち 日本のゲーム産業を支えたクリエイターの創造と挑戦』(DU BOOKS)W刊行記念 - 10/01 Sun 青木由弥子×水島英己
「野のうへは なほ光ありしや―戦時下の“抒情”を考える」
『伊東静雄―戦時下の抒情』(土曜美術社出版販売)刊行記念対談 - 10/02 Mon 大島依提亜×木村和平
「『アンダーカレント』の世界観」
映画『アンダーカレント』公開記念 - 10/03 Tue 橋口幸生×田中泰延
「健康に良い言葉、悪い言葉とは?」
『言葉ダイエット』(宣伝会議)5刷記念 - 10/05 Thu 信田さよ子×武田砂鉄
「なかったことにするもんか会議」
『家族と厄災』(生きのびるブックス)
『なんかいやな感じ』(講談社)W刊行記念 - 10/06 Fri うえはらけいた×藤井亮
「“ゾワワ”の神様の正体を藤井さんと考える」
『ゾワワの神様』(祥伝社)刊行記念 - 10/07 Sat 今野晴貴×奥貫妃文×竹信三恵子
「コロナ禍は誰を直撃したのか?
──女性・ケアワーカー・非正規労働者」
『生きのびるための社会保障入門』(堀之内出版)
『女性不況サバイバル』(岩波書店)W刊行記念 - 10/08 Sun 大塚篤司×幡野広志
「医師と患者の新しい関係」
『皮膚科医の病気をめぐる冒険』(新興医学出版社)刊行記念 - 10/09 Mon 川上康則×風間暁
「「生きたい、行きたい」と思える学校にするために」
『不適切な関わりを予防する 教室「安全基地」化計画』
(東洋館出版社)刊行記念イベント - 10/11 Wed 柴崎祐二×伏見瞬×パンス
「新しいムーブメントは、リバイバルとともに生まれる」
『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』(イースト・プレス)刊行記念 - 10/12 Thu 川野芽生×高田怜央
「文学はつねにすでに翻訳である」
『奇病庭園』(文藝春秋)
『SAPERE ROMANTIKA』(paper company)W刊行記念 - 10/13 Fri 村井理子×酒井順子
「母には振り回されてきたけれど~娘から見た昭和を生きた母親たち」
『実母と義母』(集英社)刊行記念 - 10/14 Sat 岡本仁×オオヤミノル×堀部篤史
「コーヒーブレイクのディスクール」
『ぼくのコーヒー地図』(平凡社)刊行記念 - 10/14 Sat 御代田太一×村上靖彦
「救護施設からのぞく社会」
『よるべない100人のそばに居る。』(河出書房新社)刊行記念 - 10/15 Sun 博報堂生活総合研究所×谷川嘉浩×原カントくん
「“消齢化”社会ってなんだ!?年齢に関係なく価値観でつながる時代を生きる」
『消齢化社会 年齢による違いが消えていく! 生き方、社会、ビジネスの未来予測』(集英社インターナショナル)
刊行記念 - 10/17 Tue 村上由鶴×長島有里枝
「日常の違和感から始まる」
『アートとフェミニズムは誰のもの?』(光文社)刊行記念 - 10/18 Wed 鈴木俊貴×水野太貴
「動物言語学とは何か?」
『動物たちは何をしゃべっているのか?』(集英社)刊行記念 - 10/20 Fri 高木瑞穂×大泉りか
「異なる視点であぶりだす、“立ちんぼ”と“ホス狂い”の深い闇」
『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社)刊行記念 - 10/21 Sat 横道誠×頭木弘樹
「マコトクアドラプルの2DAYS〜旅・民話・地域編〜」
『グリム兄弟とその学問的後継者たち―神話に魂を奪われて』(ミネルヴァ書房)
『解離と嗜癖──孤独な文学研究者の日本紀行』(教育評論社)刊行記念 - 10/22 Sun 横道誠×小川公代
「マコトクアドラプルの2DAYS〜当事者・ケア・世界文学編〜」
『発達障害の子の勉強・学校・心のケア――当事者の私がいま伝えたいこと』(大和書房)
『村上春樹研究──サンプリング、翻訳、アダプテーション、批評、研究の世界文学』(文学通信)
『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)刊行記念 - 10/26 Thu 渡名喜庸哲×西谷修
「フーコー、ドゥルーズ、デリダ以後を読む——変容する『いま』を哲学するということ」
『現代フランス哲学』(筑摩書房)刊行記念 - 10/31 Tue スケザネ×山下紘加
「本の扉をあけて 山下紘加と語る読書の喜び」
『煩悩』(河出書房新社)刊行記念 - 11/01 Wed 羽生有希×中村香住×深海菊絵×松浦優
「フツーの恋愛、性愛ってなに?」
『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』(左右社)刊行記念 - 11/19 Sun 伊藤桃×がみ
「てっけん!第4回」 - 11/29 Wed 加藤優一×御手洗龍×山道拓人×飯石藍
「銭湯と建築がひらく、都市の公共性」
『銭湯から広げるまちづくり
小杉湯に学ぶ場と人のつなぎ方』(学芸出版社)刊行記念