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いま、地球にかつてない危機が押し寄せている。
と同時に、いま、かつてないほどの人々が声を上げている。
急激に進行する気候変動を前にして、私たちの生きる社会のあるべき行き先と、その社会の中で実際に起こっている運動の萌芽を、佐久間裕美子さんの『Weの市民革命』と斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』は、ともに描いています。
佐久間さんは、自身の住むニューヨークの周りで「トランプ時代」の4年間に起こった目の前の市民運動に、斎藤さんは、自身で発掘した晩期マルクスの「脱成長コミュニズム」へと向かう新たな思想の姿に、軸足を置きながら。
グリーン・ニューディール、ジェネレーション・レフト、協同組合(コーポラティビズム)、〈市民〉営化、従業員アクティビズム、そしてI/We can’t breathe……
少し用語は違えど、この2冊の本が取り上げる事象は驚くほど重なっています。
それぞれの目線で捉えるそうした「新しいうねり」のリアルな事例をヒントにしながら、ひたすら利益を追求するこの資本主義をどうすれば乗り越えていけるのか、持続可能で公正な社会はいかにして可能か、そして「私たち」はなぜ無力ではないのか、手元や足元から考え直してみる時間になることと思います。
「人権、気候、ジェンダー、そして資本主義。すべての問題はつながっているのだ」
(『人新世の「資本論」』p.347)
「労働者の待遇善や安全方策の向上を求める労働運動からはじまって、LGBTQ+の権利保護運動、プロ・チョイス(中絶の権利擁護)運動まで、社会のプログレスを目指すアクティビズムはすべてつながっている」
(『Weの市民革命』p.157-158)
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【出演者プロフィール】
佐久間裕美子(さくま・ゆみこ)
文筆家。1973年生まれ。慶應義塾大学卒業、イェール大学大学院修士課程修了。1998年よりニューヨーク在住。カルチャー、ファッションから政治、社会問題まで幅広いジャンルで、インタビュー記事、ルポ、紀行文などを執筆する。著書に『真面目にマリファナの話をしよう』(文藝春秋)、『My Little New York Times』(NUMABOOKS)、『ピンヒールははかない』(幻冬舎)、『ヒップな生活革命』(朝日出版社)など。ポッドキャスト「こんにちは未来」(若林恵と)、「もしもし世界」(eriと)の配信やニュースレター「Sakumag」の発信も続けている。
斎藤幸平(さいとう・こうへい)
1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marx’s Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy(邦訳『大洪水の前に』・堀之内出版)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界六カ国で翻訳刊行されている。日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって「学術振興会賞」受賞。20万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』(集英社新書)で「新書大賞2021」を受賞。
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