「セクシュアリティはすべての人の中にある。ただ、それと本当に向き合える人は少ない」
『リオとタケル』の帯にある文章です。
今までそんなこと考えたこともない、という人も含め、この本を読んだ人はみな、多かれ少なかれ自らのセクシュアリティについて思いを巡らせるようです。
バックパッカーとしての旅を描いた『インパラの朝』で開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希さんが、今回立ち向かうのは自らの内面へと向かう旅、愛情やセクシュアリティの本質を探求する旅です。
中村さんはその半生で最も憧れたという恩師、リオが如何にパートナー、タケルとの愛情を育んでいったのか探求していくうちに、自らのセクシュアリティにも直面せざるを得なくなります。その真摯な旅が、これまでセクシュアリティについて真剣に考えたことのなかった読者を、新たな地平へと誘うのです。
この本の発売日は6月26日ですが、ちょうど1年前の2013年6月26日、アメリカの連邦最高裁は、同性婚を禁止するカリフォルニア州の州法を「違憲」とし、同性婚差別は、米国憲法が保障する人権の平等に反する、との判決を下しました。リオとタケルも、この判決を受けて結婚したカップルです。
中村安希さんの公式ブログ「安希のレポート:akinakamura.net」では、 LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字。セクシャル・マイノリティを指す)を理解するためのレポートを連載中です。こちらもあわせてご覧ください。
中村安希(なかむら・あき)
ノンフィクション作家。1979年京都府生まれ、三重県育ち。カリフォルニア大学アーバイン校演劇学部卒。09年、47ヵ国をめぐる旅をもと に書いた『インパラの朝』(集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞。著書に、『Beフラット』(亜紀書房)、『食べる。』『愛と憎しみの 豚』(共に集英社)がある。
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