アイルランドのダブリンに生まれ、のちに20世紀の文学を代表する一人となった作家ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)。世界文学史上の巨星などと形容されたりもしますが、こうした輝かしい名声はいずれも『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』といった難解で知られる作品をもとにしたものです。ジョイスはそれ以前に、もっと読みやすい作風の短篇集『ダブリナーズ』(1914)、そして自伝的長篇小説『若き日の芸術家の肖像』(1916)を書いていました。昨年2016年に、この二つの作品の出版100周年を記念して、日本初となる二冊の研究論集が刊行されました。通称「罠」と「迷宮」です。今回は両論集の編著者を務め、「ジャパニーズ・ジェイムズ・ジョイス・スタディーズ」(JJJS)の発起人となった金井嘉彦氏と、両論集の執筆者である若手ジョイス研究者の南谷奉良氏・小林広直氏の3名による記念トークイベントを行います。
イベントの前半部では、ジョイスの作品を一つも読んだことがない方へ向けて、小林氏からジョイスという作家に関してこれだけは知っておきたいポイントをお話しいただきます。その後、金井氏と南谷氏から『ダブリナーズ』と『肖像』の作品と二つの論集を素材として、ジョイス初期作品の秘密に関してミニレクチャーを行っていただきます。後半部はフロアの皆さまのご質問をもとにしたトークセッションとなります。
「ジョイスの名前は聞いたことはあるけれど…」という方から、すでに「罠」と「迷宮」にどっぷりはまっている方まで、どなたでも大歓迎です。どことなく怖そうなイメージがあるジョイスですが、それはもしかしたら彼が作品に仕掛けめぐらせた手口の、あまりの 底知れなさ に由来するのかもしれません。このイベントをきっかけに、いっしょに踏み出してみましょう。100年の歳月を経てようやく開きつつある、未だ知られざる入口へ。
金井嘉彦(かない よしひこ)
一橋大学教授。著書『ジョイスの罠――「ダブリナーズ」に嵌る方法』(編著、言叢社、2016年)、『ユリシーズの詩学』(東信堂、2011年)、『ジェンダー表象の政治学――ネーシヨン、階級、植民地』(共著、彩流社2011年)、『ジェンダーから世界を読むⅡ――表象されるアイデンティティ』(共着、明石書店、2008年)ほか。
南谷奉良(みなみたに よしみ)
一橋大学言語社会研究科博士後期課程在籍。横浜国立大学・専修大学非常勤講師。著書・主要論文『ジョイスの罠――「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、「芸術と生と情熱の〈エゴシステム〉――ジェイムズ・ジョイスの『若き生の断章』(“Chapters in the Life of a Young Man”)」(Joycean Japan 第27号、2016年)、「「プロテウス」における恐水と救出の風景――『ユリシーズ』にみる近代的動物としての犬――」(Joycean Japan 第26号、2015年)ほか。
小林広直(こばやし ひろなお)
早稲田大学文学研究科博士課程在籍。早稲田大学文学学術院英文学コース助手。大妻女子大学非常勤講師。著書・主要論文『ジョイスの罠――「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、「回想による時間の圧縮と逆行――『若き日の芸術家の肖像』第一章における時間軸の歪みについて――」(Joycean Japan 第27号、2016年)、“Rereading “The Dead” as Ghoststory” (Joycean Japan 第26号、2015年)ほか。
言叢社ホームページ
http://gensousha.sakura.ne.jp/
ジョイス協会ホームページ
https://joycesocietyjapan.jimdo.com/
STEPHENS WORKSHOP
https://www.stephens-workshop.com/
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2017/02/04 Sat -
金井嘉彦×南谷奉良×小林広直
「21世紀のジェイムズ・ジョイス――未だ知られざる入口へ」
『ジョイスの罠』『ジョイスの迷宮』(言叢社)刊行記念
- 08/21 Thu 佐藤良明×毛利嘉孝
「ロック音楽と資本主義の精神」
『定本 ラバーソウルの弾みかた』(岩波書店)刊行記念 - 08/22 Fri 徳谷柿次郎×木下斉×日野昌暢
「都市をrenewする! ~みんなでつくる、未来の街」
『都市と路上の再編集 LIVE NOW DEVELOPMENT』(風旅出版)刊行記念 - 08/23 Sat 西谷格×安田峰俊
「潜入ライター、“AI監視”ウイグルに迷い込む」
『一九八四+四〇 ウイグル潜行』(小学館)刊行記念 - 08/24 Sun 楊双子×リン・キン×三浦裕子
「台湾文学は、 世界でいかに翻訳されるのか」
『台湾漫遊鉄道のふたり』(中央公論新社)全米図書賞翻訳賞&日本翻訳大賞受賞記念トーク - 08/25 Mon 飯間浩明×鈴木忠平×銀シャリ橋本直 ×田辺智加(ぼる塾)×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第14回公開収録 - 08/27 Wed むらかみなぎさ×明智マヤ
『柔らかい縁』リリース記念イベント - 08/28 Thu フウ×稲垣えみ子
「とりあえず行って住んでみた 〜ヨルダンとフランスで生活体験」
『ヨルダンの本屋に住んでみた』(産業編集センター)刊行記念 - 08/30 Sat 石井健介×濱田祐太郎
「ふたりが見てきた景色について。」
『見えない世界で見えてきたこと』(光文社)&
『迷ったら笑っといてください』(太田出版) W刊行記念 - 08/30 Sat コナリミサト×武田真治×中田クルミ
「スナックバブル in B&B」
『凪のお暇』(秋田書店)完結・12巻刊行記念 - 08/31 Sun 小川公代×中村隆之
「この世界を生きるための物語と音楽」
『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』
『ブラック・カルチャー』(岩波書店)刊行記念 - 09/01 Mon 佐藤誠二朗×ATSUSHI(ニューロティカ)
「八王子~中央線~井の頭線~下北沢 僕らのパンクとインディーズ」
『いつも心にパンクを。Don’t trust under 50』(集英社)刊行記念 - 09/03 Wed 柳田理科雄×山浦康二
「空想金融教室Night〜今宵、お金がもっとスキになる〜」
『空想金融教室』(小学館)刊行記念 - 09/04 Thu 島村恭則×黒川晝車×諸星めぐる
「今日からできる! 『みんなの民俗学』実践講座(入門編)」
『Hukyu』発刊記念 - 09/05 Fri 國友公司×室橋裕和
「一人旅の流儀」
『ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街』刊行記念 - 09/07 Sun 荻上チキ×栗原俊雄×辻田真佐憲
「私たちはなぜ暴力を生んでしまったのか?」
『大日本いじめ帝国』(中央公論新社)
『「あの戦争」は何だったのか』(講談社)
W刊行記念 - 09/08 Mon 山﨑博司×花田礼×長谷川輝波×德岡淳司
「いま愛される言葉ってなんですか?」
『New広告Journal』発刊記念 - 09/12 Fri 植本一子×西村佳哲
「わたしたちの安心安全な場所をつくる」
『ここは安心安全な場所』刊行記念 - 09/13 Sat 中村拓哉×磯部涼
「日本語ラップと日本社会—右傾化・ストリート・ネオリベラリズム」
『日本語ラップ 繰り返し首を縦に振ること』(書肆侃侃房)刊行記念 - 09/14 Sun 鶴見済×鴻上尚史
「みんな同じでなくていい――日本社会の生き苦しさ」
『人間関係を半分降りる 増補版』(ちくま文庫)刊行 - 09/22 Mon とあるアラ子×はらだ有彩×山本美希
「「普通」を拡張する 〜描くことがひらく世界」
『多様で複雑な世界を、いまどう描くか』(BNN)刊行記念