日本社会の晩婚化にともない出産の高齢化が進む中、「出生前診断」を希望する妊婦の方が増えています。
流産リスクがある他の検査とは異なり採血だけでダウン症等の染色体異常がわかる「新型出生前診断」(NIPT)が2013年より開始されましたが、そもそもNIPTとはどういう検査で、妊婦の方は何を判断し結果に備えればよいのでしょうか。また医療テクノロジーの最前線はどうなっているのでしょうか。
出生前診断の「現場」に長年関わり最先端研究者でもある著者の室月淳先生が、出生前診断を受けるかどうか迷う妊婦に正しい情報を伝え、同時に「命の選択」の本質を考える一冊『出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」』(集英社新書)が、このたび刊行の運びとなりました。
今回、発売記念トークイベントのゲストには、大宅壮一ノンフィクション賞&新潮ドキュメント賞受賞作『選べなかった命―出生前診断の誤診で生まれた子』(文藝春秋)の著者、ノンフィクションライターの河合香織さんをお招きします。
『選べなかった命~』は、出生前診断をうけて「異常なし」と医師から伝えられたにもかかわらず、生まれてきた子がダウン症だったという女性が提訴した裁判をめぐり、多くの当事者を丹念に取材したノンフィクション。じつは室月淳先生も取材協力者として関わっているというご縁があります。
お二人のトークのテーマは「出生前診断-選ぶ・選ばない・選べない」としました。「出生前診断」がはらむ様々な問題や現状について、医師とノンフィクションライター、それぞれの立場から思うところを率直に語ってもらいます。
【出演者プロフィール】
室月淳(むろつき・じゅん)
1960年、岩手県生まれ。東北大学医学部卒業後に東北大学医学部産婦人科に入局。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学ローソン研究所に3年間留学し、国立仙台医療センター産婦人科医長、岩手医科大学産婦人科講師などを経て、現在は宮城県立こども病院産科科長。東北大学大学院医学系研究科先進成育医学講座胎児医学分野教授を併任。共編著に『骨系統疾患−出生前診断と周産期管理』『妊娠初期超音波と新出生前診断』がある。
河合香織(かわい・かおり)
1974年生まれ。ノンフィクション作家。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒業。2004年に出版した『セックスボランティア』で障害者の性と愛の問題を取り上げ、話題を呼ぶ。2009年『ウスケボーイズ―日本ワインの革命児たち―』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。2018年『選べなかった命―出生前診断の誤診で生まれた子』では大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞を受賞した。
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