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東京・西荻窪で2005年から雑貨店FALLを営む三品輝起さんは、2017年に突如刊行された『すべての雑貨』(夏葉社)で、雑貨界はもとより、個人店主が営む小売業界、工芸、アート、ライフスタイル、出版、あらゆる分野でじわじわと(まさに同書で「世界がじわじわと雑貨化している気がする」と看破したように)、静かな衝撃を与えました。よくある人気店主の身辺エッセイとは真逆の、「雑貨」をめぐって何周にもわたって考え巡らされた消費文化論的雑貨考を読んだ者は、必ずや自らの“雑貨感覚”の度数を自問したことでしょう。
その三品さんが、新潮社のWebマガジン「考える人」で連載した好評エッセイ「雑貨の終わり」が、新たな書き下ろしを加えてこの度書籍化されます(新潮社より8/27発売)。無印良品から、村上春樹の書斎、ディズニーランド、フロイト博物館、ポートランド、マルセル・デュシャンのレディメイドなど、さまざまな具体例をきっかけに本作でも「雑貨」にまつわる鋭い考察が記されていますが、その思考のユニークさと同様に、三品さんの書く文章は文章そのものの魅力も大きく、読む歓びにあふれています。雑貨店主になる前の自らの過去や、お店の経営が行き詰まっていた時期、出逢ったお客さんや取引業者とのエピソードの数々は、もはやそれが本当に体験したことなのかわからなくなるほど、私小説的な味わいも色濃く感じられます。
本イベントでは、著者の三品さんと、三品さんのデビュー作を世に送り出した夏葉社の島田潤一郎さんをお相手に迎え、『雑貨の終わり』に込めた思いをうかがいながら、三品さんの人物像とその文章の魅力に迫ります。
【出演者プロフィール】
三品輝起(みしな・てるおき)
1979年京都府生まれ。愛媛県にて育つ。2005年より東京の西荻窪で雑貨店「FALL」を経営。2017年、初の著書『すべての雑貨』(夏葉社)を刊行。「図書」(岩波書店)ほか各誌に雑貨論を寄稿している。http://fall-gallery.com
島田潤一郎(しまだ・じゅんいちろう)
1976年高知県生まれ。2009年9月、出版社・夏葉社を吉祥寺で創業。著書に『あしたから出版社』(晶文社)、『90年代の若者たち』『ブックオフ大学ぶらぶら学部』[共著]『本屋さんしか行きたいとこがない』(以上、岬書店)、『古くてあたらしい仕事』(新潮社)がある。
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