ヒトラーを主人公にしたコミックといえば、水木しげるさんの『劇画ヒットラー』(ちくま文庫)がよく知られています。これはヒトラーの生涯を伝記的にリアリズム路線で追いかけたものですが、日本ではナチスと同盟国だったこともあってか、いまひとつヒトラーやナチスがパロディの対象にはなりきれていないようです。
ところが、アメリカ文化が描いてきたヒトラーやナチスには、もはや「伝統」と呼べる歴史があります。チャップリンにはじまって、カート・ヴォネガット、トマス・ピンチョン、メル・ブルックス、クエンティン・タランティーノ……。文学でも、映画でも、演劇でも、現代のアメリカはさまざまな方法で、「ヒトラーいじり」に血道をあげてきたのです。
このたび、共和国から刊行されるコミック『総統はヒップスター』は、まさにそうした伝統の最先端。本書はもともと Web上で連載され、ナチス批判でありながら、同時に現代アメリカ文化批判の試みとして、アメリカのみならずドイツでも翻訳されて人気を博してきました。インディーズバンドとロゴTシャツをこよなく愛し、ロハスな生き方を試みつつも、ゲッベルスやゲーリングを従えて世界征服をめざすヒップスター・ヒトラーの「わが闘争」を、きわめてブラックな笑いによって物語っています。
今回は、この、いまもっとも取扱い注意のコミック『総統はヒップスター』をめぐって、訳者の波戸岡景太さんが、どうすれば本書を「正しく」読むことができるのか、まじめに楽しくお話しします。ぜひ、この奇書を一緒に読みといてみませんか。
波戸岡景太(はとおか・けいた)
1977年生まれ。明治大学理工学部准教授、アメリカ文学者、翻訳家。
著書に、『ラノベのなかの現代日本』(講談社現代新書)、『オープンスペース・アメリカ』(左右社)、『動物とは「誰」か?』、『コンテンツ批評に未来はあるか』、『ピンチョンの動物園』(以上、水声社)、コミックの翻訳に、レオポルト・マウラー『ミラーさんとピンチョンさん』(水声社)がある。
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2014/09/20 Sat -
波戸岡景太 「『総統はヒップスター』の正しい読み方おしえます。」 『総統はヒップスター』(共和国)刊行記念
- 04/03 Thu 木村祥一郎×藤原隆充
「遠まわりをした老舗家業の働き方」
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「“日本語は難しい”と日本人は言うけれど? 」
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- 04/06 Sun 栗田隆子×武田砂鉄「「働けない人」と「働けた人」で考える──わたしたちの社会と労働のいびつな関係」『「働けない」をとことん考えてみた。』(平凡社)刊行記念
- 04/07 Mon 藤原ヒロシ×皆川壮一郎×嶋浩一郎
「無駄と余白と奥行きと」 - 04/09 Wed 藤澤ゆき×石田真澄×野村由芽
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『わたしを編む つくる力を、手のうちに YUKI FUJISAWA制作日記』刊行記念 - 04/10 Thu 藤津亮太×前島賢
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「自分のことってどう書けばいいのか? 」
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3ヶ月かけてじっくりと読む - 04/20 Sun 金川晋吾×柴崎友香×小田原のどか
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“ロゴデザイン”のちょっと深い裏話」
『カンタンでちょっぴり深いロゴづくり』
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「動物になりきれない、愛しい人間たちの“欲望”」
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『わたくしがYES』『USO 6』『生きる力が湧いてくる』トリプル刊行記念 - 04/30 Wed 古舘佑太郎×又吉直樹
「旅と文」
『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』(幻冬舎)刊行記念 - 05/18 Sun ひうらさとる×小川奈緒
「50代からの軽やかな”旅”と”伝え方”」
『58歳、旅の湯かげん いいかげん』
『伝え上手になりたい』(扶桑社)W刊行記念