第157回芥川賞にノミネートされた温又柔さんの小説『真ん中の子どもたち』(集英社)の刊行を記念して、著者の温さんと、英語圏の同時代の文学作品を精力的に紹介されている翻訳家の都甲幸治さんをゲストにお招きし、トークイベントを開催します。
『真ん中の子どもたち』は、日本人の父親と台湾人の母親のもとに生まれ幼少期から日本で育った「琴子」が、中国語を学ぼうと上海へ語学留学に向かうところから始まります。彼女は留学先の学校で、台湾人の父親と日本人の母親をもつ「嘉玲」、中国から日本に帰化した両親のもと日本で生まれ育った「舜哉」と出会い、日本と台湾と中国、3つの国の間で揺れ動くアイデンティティーを共有しながら、自らの生き方と「ことば」を模索していきます。
「線なんてない。ミーミーがそう思えば、ミーミーは日本人にも台湾人にもなれるよ。ミーミーの心次第で行ったり来たりすればいいんだ。/(…)どっちか、じゃなくて、どっちもなんだよ」−−−『真ん中の子どもたち』より
果たして「国境」とはなにか? 「母語」とはなにか? 「ほんものの日本人」とはなんなのか? 言語とアイデンティティーが複雑に絡まり合った状況を抱えながら生きる若者たち姿を鮮やかに描き出すこの青春小説は、分断されつつある我々の社会への鋭い問いかけであり、同じ境遇にある世界中の「子どもたち」への温かい呼びかけでもあります。本イベントでは、温さんが作品に込めた思いをうかがいながら、移民やその子どもたちが獲得した「ことば」で書かれた英語圏の作品と比較し、『真ん中の子どもたち』がもつ文学の可能性を探ります。
温又柔(おん・ゆうじゅう)
1980年台湾・台北市生まれ。3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。2009年、「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。11年、『来福の家』(白水Uブックス)を刊行。13年、音楽家・小島ケイタニーラブと共に朗読と演奏によるコラボレーション活動〈言葉と音の往復書簡〉を開始。同年、ドキュメンタリー映画『異境の中の故郷――リービ英雄52年ぶりの台中再訪』(大川景子監督)に出演。15年、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)を刊行。同書で第64回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。
都甲幸治(とこう・こうじ)
1969年福岡県生まれ。翻訳家、アメリカ文学者。早稲田大学文学学術院教授。著書に、『偽アメリカ文学の誕生』(水声社)、『21世紀の世界文学30冊を読む』『生き延びるための世界文学』(ともに新潮社)、『狂喜の読み屋』(共和国)、『読んで、訳して、語り合う。』『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』(共著、すべて立東舎)。訳書に、チャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』(河出文庫)、ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』『こうしてお前は彼女にフラれる』、ドン・デリーロ『天使エスメラルダ』(共訳、いずれも新潮社)ほか多数。
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2017/09/03 Sun -
温又柔×都甲幸治
「世界文学の真ん中へ」
『真ん中の子どもたち』
(集英社)刊行記念
- 07/04 Fri 富川岳×ドミニク・チェン×桜井祐
「懐かしい異界へ。人ならざるものと共に生きる」
『シシになる。──遠野異界探訪記』(亜紀書房)刊行記念 - 07/05 Sat 岡本敬子×岡本仁
「ふたりへの質問エクストラ 」
『私のふたり暮らし』(光文社) - 07/05 Sat 武田砂鉄×石村博子×舛友雄大
「ノンフィクションの現在地」
Presented by 講談社本田靖春ノンフィクション賞 - 07/06 Sun あきやあさみ×竹村優子
「服と仕事と私~制服化スタイリストと編集者の場合」 - 07/09 Wed 緊急開催!香田有希×田上智子×YOM YOM PR CLUB
「カンヌライオンズPR部門審査員と考える、変化を起こすPRパーソンとは」 - 07/10 Thu 星田英利×フルーツポンチ村上健志×日下怜奈×トット桑原雅人×あわよくばファビアン×ピストジャム
「第一芸人文芸部 俺の推し本。」(BSよしもと)
第13回公開収録 - 07/11 Fri 星野文月×竹中万季×野村由芽
「それぞれの日記のなかにある、人との距離や関係性」
『不確かな日々』(ひとりごと出版)
刊行記念 - 07/12 Sat 西尾康之×斎藤環
「『不死』の時代とは?:アーティストと精神科医が語り尽くす」
『不死』(くま書店)刊行記念 - 07/13 Sun 柴田元幸×惠愛由
「あなたをみている」
『体の贈り物』(twilillight) 復刊記念 - 07/13 Sun 服部円×長崎訓子
「身近なネコをよく知り、
イラストにするワークショップ」
『ネコは(ほぼ)液体である』
(KADOKAWA)刊行記念 - 07/14 Mon 【全6回】連続講座 鈴木涼美「夜の読書室」Vol.3
- 07/15 Tue 松尾潔×丸屋九兵衛
「90年代R&Bとは何だったのか? 」
『松尾潔のメロウなライナーノーツ』(リットーミュージック)刊行記念 - 07/16 Wed 三宅陽一郎×清木 昌
「ゲームデザイン、人工知能、数学――レトロゲームから未来まで」
『数学がゲームを動かす!』
(日本評論社)刊行記念 - 07/18 Fri 阿部恭子×インベカヲリ★
「家族という密室で何が起きているのか」
『近親性交―語られざる家族の闇』(小学館)刊行&重版記念 - 07/19 Sat 滝口悠生×佐々木敦
「ことばの即興力
ーーいかに書き進めていくか?」
『「書くこと」の哲学 ことばの再履修』
(講談社)刊行&重版記念 - 07/21 Mon 沢山遼×山本浩貴×岩渕貞哉
「岡﨑乾二郎、そしてモダニズムをいま、考える」
『美術手帖 2025年7月号 特集「岡﨑乾二郎」』(美術出版社)刊行記念 - 07/22 Tue 周司あきら×杉田俊介
「語られにくいミサンドリー(男性嫌悪)から『男』の話をしよう」
『ラディカル・マスキュリズム』(大月書店)
『男性学入門』(光文社)W刊行記念 - 07/23 Wed 椎名基樹×せきしろ
「バカサイトークライブ」 - 07/24 Thu 米澤渉×ひろのぶと株式会社
「踊る阿呆たちの本づくり」
『踊る阿呆の世界戦略』(ひろのぶと株式会社)
刊行記念 - 07/26 Sat 水上文×清水晶子
「ここにも、そこにも、どこにでも:日本語圏と英語圏のクィアポリティクスを辿って」
『クィアのカナダ旅行記』(柏書房)刊行記念 - 07/27 Sun 太田充胤×山本ジャスティン伊等×山本浩貴
「こんなにも踊りたい、私たちの魂について」
『踊るのは新しい体』(フィルムアート社)刊行記念 - 07/28 Mon 金原ひとみ×朝吹真理子×山中瑶子
「韓国と出会って考えたこと」
新文芸誌『GOAT meets』(小学館)刊行記念 - 07/29 Tue 枝優花×平井珠生
「ラジオでしゃべるって、こんなにむずかしくて、たのしい。」 - 07/30 Wed 梶原阿貴×高橋伴明
「家族とジェンダーと革命」
『爆弾犯の娘』(ブックマン社)
刊行記念 - 08/04 Mon 古賀及子×菊地朱雅子×北野太一×油利可奈
「生活を(書き)続けるために」
『巣鴨のお寿司屋で、帰れと言われたことがある』(幻冬舎)
『おかわりは急に嫌 私と『富士日記』』(素粒社)
『よくわからないまま輝き続ける世界と 気がつくための日記集』(大和書房)刊行記念 - 08/11 Mon 豊﨑由美×宇野和美
第94回「読んでいいとも! ガイブンの輪」 - 08/13 Wed 小島雄一郎×吉田将英
「拗らせたおじさん二人が考える『選べない』時代の生き方」
『「選べない」はなぜ起こる?』(サンマーク出版)刊行記念 - 08/31 Sun 小川公代×中村隆之
「この世界を生きるための物語と音楽」
『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』
『ブラック・カルチャー』(岩波書店)刊行記念