今から200年前の1818年、小説『フランケンシュタイン』が匿名で出版されました。人造人間を生み出した天才科学者と捨てられた〈怪物〉がもたらす数奇な運命の物語は、奇怪小説やSF小説といった枠を超えてさまざまな解釈がなされ、現代にいたるまで、映画や演劇、小説、マンガ、アートなど様々な形で上演や翻案がなされてきました。しかし、その物語を18歳の女性が書いたことはあまり知られていません。彼女はどのような人物で、いかにしてこの物語を創作したのでしょうか。
このたび公開される映画『メアリーの総て』(12/15公開)は、今や古典的名作となった『フランケンシュタイン』の誕生の秘密に焦点を当てた作品です。19世紀初頭のイギリス社会で、10代のメアリー・シェリーがどのような家庭で育ち、いかに世間の偏見や抑圧、内面化されたジェンダーの歪みと格闘し、自らの声を託した物語を書き上げ、出版までこぎつけたのか。映画では、メアリーに扮したエル・ファニングが、素晴らしい演技を見せています。また、本作を監督したのは、サウジアラビアで初の女性監督となったハイファ・アル=マンスール(『少女は自転車にのって』)。200年前を舞台としながらも、メアリーの置かれた状況や人生を過去のものとせず、現代の女性にも通じる物語として描かれています。
B&Bでは、英文学者で、NHHの「100分de名著」でも『フランケンシュタイン』の回で講師を務めた廣野由美子先生と、『世界を変えた50人の女性科学者たち』など女性の歴史と文化にまつわる話題書の翻訳を手がけている野中モモさんをお迎えして、映画の公開を記念したトークイベントを開催します。メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』という小説に込めたものとは何だったのか。メアリーが生きた社会と人生について、現代の我々が生きる社会とも照らし合わせながら、ジェンダーの視点からも読み解きます。
◎『メアリーの総て』公式サイト:https://gaga.ne.jp/maryshelley
【出演者プロフィール】
廣野由美子(ひろの・ゆみこ)
英文学者。京都大学教授。著書に『批評理論入門―「フランケンシュタイン」解剖講義』(中公新書)、『深読みジェイン・オースティン』(NHKブックス)、『謎解き「嵐が丘」』(松籟社)、『ミステリーの人間学-英国古典探偵小説を読む』(岩波新書)、『一人称小説とは何か-異界の「私」の物語』(ミネルヴァ書房)など多数。翻訳書として、ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』(光文社古典新訳文庫)を近刊予定。NHKテレビ番組「100分de名著」では、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』、ジェイン・オースティン『高慢と偏見』の回に講師として出演。
野中モモ(のなか・もも)
ライター、翻訳家。東京生まれ。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジで美術史修士課程を修了。自主制作出版物オンラインショップ「Lilmag」の店主を務める。共編著に『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社)、単著に『デヴィッド・ボウイ』(ちくま新書)など。訳書にレイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』(亜紀書房)、ルピ・クーア『ミルクとはちみつ』(アダチプレス)など多数。
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2018/12/02 Sun -
廣野由美子×野中モモ
「『フランケンシュタイン』を書いたメアリー・シェリーとは?」
映画『メアリーの総て』公開記念
- 05/18 Sun フィクショネス 文学の教室
『金閣寺』『美しい星』を
3ヶ月かけてじっくりと読む - 05/18 Sun ひうらさとる×小川奈緒
「50代からの軽やかな”旅”と”伝え方”」
『58歳、旅の湯かげん いいかげん』
『伝え上手になりたい』(扶桑社)W刊行記念 - 05/19 Mon 永谷亜矢子×嶋浩一郎
「なぜあの観光地は選ばれるのか? 」
『観光"未"立国』(扶桑社)刊行記念 - 05/20 Tue 鈴木成一×大島依提亜×大久保明子
「“良い装丁”ってなんだろう?」
『【全5回】本屋B&B 超実践 装丁の学校 ファイナル』開校記念 - 05/21 Wed 浜島直子×一田憲子
「感情を言葉にすること」
『キドアイラク譚』
『もっと早く言ってよ。』(扶桑社)W刊行記念 - 05/23 Fri 大塚ひかり×春画ール
「歴史から悪意の本質を考える 」
『悪意の日本史』(祥伝社)刊行記念 - 05/24 Sat 森本淳生×鈴木亘×藤山直樹
「人文学から見る落語/落語から見る人文学」
『落語と学問する』(水声社)刊行記念 - 05/25 Sun アキラ・ザ・ハスラー×小沼理
「ぼくたち、今日は明るい話をしよう。」
『売男日記』(loneliness books)復刊記念 - 05/28 Wed 奇妙礼太郎×伊藤亜和『オールウェイズ』(ZINE)『わたしの言ってること、わかりますか。』(光文社)W刊行記念
- 05/29 Thu 中本千晶×早花まこ
「読む“タカラヅカ”の魅力」
『相克のタカラヅカ』(春風社)刊行記念 - 05/30 Fri 堀井美香×今井雄紀×嶋浩一郎
「ラジオの先輩に聞いてみよう! ラジオの魅力と聞く力」 - 05/31 Sat 白石正明×牟田都子
「ケアと校正」
『ケアと編集』(岩波書店)刊行記念 - 06/01 Sun 濱中淳子×伊藤賀一
『大学でどう学ぶか』
『もっと学びたい!と大人になって思ったら』
(筑摩書房)W刊行記念 - 06/02 Mon 秋吉健太×中村貞裕
「“編集力とミーハー力” 。“好き”を仕事にする技術——編集者と経営者、それぞれの視点から」
『原点回帰 山田孝之、新しいコミュニティをつくる』(blueprint)刊行記念 - 06/03 Tue 穂村弘×脇田あすか×木村亮×筒井菜央
「『コトアム』と短歌アンソロジーから広がる”編む”を”読む”楽しさ」
ことばの投稿・閲覧SNSアプリ『コトアム』リリース記念 - 06/04 Wed 矢野利裕×町屋良平
「小説の死後に文学を再設定する」
『「国語」と出会いなおす』(フィルムアート社)刊行記念 - 06/07 Sat 中村佑子×石田月美
「わたしが、わたしのからだを孤独にしないために」連動企画
『なぜこの世界で子どもを持つのか 希望の行方』(集英社)連載スタート記念対談 - 06/08 Sun 藤見よいこ×小宮りさ麻吏奈「間(あわい)に立つひと」『半分姉弟』『線場のひと』(リイド社)W刊行記念
- 06/13 Fri 横道誠×菊池真理子×二村ヒトシ×松本俊彦
「みんなおいでよ、依存症の豊かな世界」 - 06/14 Sat 鴻上尚史×一色洋平×おーちようこ
「演劇のつくり方 〈もっと〉 教えます」
『舞台が幕を開けるまで』(大修館書店)刊行記念 - 06/18 Wed 小笠原鳥類×広瀬大志×黒崎晴臣
「おお、限りなく現代の詩人たち」
『おお、限りなく懐かしい動物たち』(ライトバース出版)刊行記念