現代のキューバ作家、レオナルド・パドゥーラの代表作『犬を愛した男』(寺尾隆吉訳、水声社)が5月に刊行されました。本作は、ソ連政府を追われたレオン・トロツキーの亡命生活と、1940年にメキシコでラモン・メルカデールがトロツキーを暗殺するまでの軌跡を、恐怖に耐え抜いた平凡なキューバ市民イバンの目線から再現し、スペイン語圏全体で大きな成功を収めました。
1955年、キューバに生まれた作家レオナルド・パドゥーラは、社会主義ユートピアの崩壊を目の当たりにし、歴史の激動に翻弄される世代に生まれました。キューバの「失われた世代」に属するパドゥーラは、トロツキーの暗殺者ラモン・メルカデールが生涯最後の数年をキューバで過ごしたことを知り、さまざまな調査を開始、2005年に本書の執筆に取りかかりました。現在でもキューバを拠点に、変貌するキューバの現状について新聞などにコラムを寄せています。
今回のイベントでは、本書の翻訳を手がけた寺尾隆吉氏と、トロツキーの伝記を訳し、自身もラテンアメリカ文学の読者である山形浩生氏をお迎えして、魅力あふれるパドゥーラの文学世界へご案内します。
イベントの最後には、来日中の作家パドゥーラ本人の話も予定しております。作家と会えるまたとないこの機会に、ぜひ足をお運び下さい。
寺尾隆吉
1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、早稲田大学社会科学部教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『魔術的リアリズム――二〇世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)、『ラテンアメリカ文学入門――ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで』(中公新書、2016年)。主な訳書には、マリオ・バルガス・ジョサ『マイタの物語』(水声社、2018年)、フリオ・コルタサル『奪われた家/天国の扉 動物寓話集』(光文社古典新訳文庫、2018年)などがある。
山形浩生
1964年、東京都生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。キューバをはじめ途上国援助業務のかたわら、小説、経済、建築、ネット文化など広範な分野での翻訳および雑文書きに手を染める。著書に『たかがバロウズ本』(大村書店)、『新教養主義宣言』(河出文庫)など。主な訳書に、クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』(ちくま学芸文庫)、バナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』(みすず書房)、ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』(講談社現代文庫)、ピケティ『21世紀の資本』(みすず書房)ほか多数がある。
レオナルド・パドゥーラ(Leonardo Padura)
1955年、キューバのマンティージャ生まれ。ハバナ大学で文学を専攻、文学雑誌や新聞の編集に携わり、1990年から探偵小説の執筆に取り組む。〈マリオ・コンデ警部〉のシリーズによってキューバ国内で名を知られ、シリーズ第3作『仮面』(1995年)でカフェ・ヒホン賞を受賞。以後、スペインの出版社から長編小説の刊行を続けている。『我が人生の小説』(2002年)で純文学を手掛け、本作『犬を愛した男』はスペイン語圏全体で大ヒット作となった。2015年にアストゥリアス王女賞受賞。現在もマンティージャで執筆活動を続けており、歴史小説『異端者』(2013年)、コンデシリーズ『透明な時間』(2018年)などで好評を博し続けている。
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2019/05/18 Sat -
レオナルド・パドゥーラ×寺尾隆吉×山形浩生
「〜キューバナイトvol.2
レオナルド・パドゥーラの文学世界〜」
『犬を愛した男』(水声社)刊行記念
出版社水声社
開催日時 19:00~21:00 (18:30開場)
開催場所 本屋B&B
東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F
入場料 ■前売1,500yen + 1 drink order
■当日店頭2,000yen + 1 drink order
- 05/29 Sun 生井英考×桜井雄一郎
「レンタルビデオの生態系」
『ビデオランド』(作品社)刊行記念 - 05/30 Mon 相川 千尋×北原みのり
「女性たちの声を聞くこと――DVや性暴力に抗うために」
『真っ赤な口紅をぬって』(新泉社)刊行記念 - 05/31 Tue 鹿田昌美×柚木麻子×田房永子
「女性たちは何を背負わされてきたのか」
『母親になって後悔してる』(新潮社)刊行記念 - 06/04 Sat 山内尚×吉野靫
「ノンバイナリーの影/気配/足音を探して」
『ノンバイナリーがわかる本 heでもsheでもない、theyたちのこと』
(明石書店)刊行記念 - 06/05 Sun ユイ・ガ・ドクソン(GANG PARADE)
ユイ・ガ・ドクソン先生の「にがくてあまいラジオ」(動画付き)
『恋愛アンソロジー にがくてあまい』(ひよこ文庫)刊行記念 - 06/06 Mon 服部理佳×ひらりさ
「『ロリータ』にされたわたしを取り返す~書くこと、読むこと、連帯すること~」
『わたしが先生の「ロリータ」だったころ 愛に見せかけた支配について』
(左右社)刊行記念 - 06/09 Thu 小国士朗×辻愛沙子
「企画人生カイギ~企画することの楽しさ、悩み、生々しいことすべて」
『笑える革命』(光文社)刊行記念 - 06/10 Fri 絲山秋子×田中和生
「人々の暮らしを肯定する世界文学」
『まっとうな人生』(河出書房新社)刊行記念 - 06/11 Sat 岡瑞起×池上高志×李明喜
「なぜ生命をつくりだそうとするのか? 」
『ALIFE | 人工生命 より生命的なAIへ』(ビー・エヌ・エヌ)刊行記念 - 06/12 Sun 川﨑智子×鶴崎いづみ×江頭尚子
「お金にまつわる困り事を、あらいざらい話しつくす」
『整体対話読本 お金の話』(土曜社)刊行記念 - 06/17 Fri 熊谷はるか×矢萩多聞
「10代で体験したインドを語る! 本には書ききれなかったことをここでたっぷり話しましょう」
『JK、インドで常識ぶっ壊される』『本とはたらく』(河出書房新社)W刊行記念 - 06/19 Sun 玉居子泰子×江連麻紀×向谷地生良
「子どもの言葉は、みちしるべ!」
『子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(白夜書房) 『子ども当事者研究 わたしの心の街には おこるちゃんがいる』(コトノネ生活)W刊行記念 - 06/20 Mon 清水晶子×長島有里枝
「フェミニズムが分断や対立のうちに終わらないためには」
『フェミニズムってなんですか?』(文藝春秋)刊行記念 - 06/24 Fri 天野彬×廣田周作
「新時代カルチャーは、SNSから生まれる(のか?)」
『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる ショートムービー時代のSNSマーケティング』(世界文化社)刊行記念 - 06/29 Wed 佐々木ののか×青山ゆみこ
「推しと雑談ー私をケアしてくれる本、だけどケアってなんだろう?」
『自分を愛するということ(あるいは幸福について)』(亜紀書房)刊行記念 - 07/15 Fri tofubeats×imdkm×有村崚×杉生健
「トーフビーツの出席裁判」
『トーフビーツの難聴日記』(ぴあ)刊行記念